首位西武の勢いが止まらない。ロッテ相手に本塁打3発を含む10安打9得点で、3点差をひっくり返して3連勝。3つ全て逆転勝ちした。メットライフドームでは今季負けなし8連勝。本拠地での開幕連勝球団新記録を打ち立てた。早くも貯金は10。開幕18試合以内での到達は、54、55年に続く球団3回目。当時の主力だった中西太氏(85=日刊スポーツ評論家)も太鼓判を押す強さだ。

 ド派手な3発の締めは、“21世紀の怪童”山川だ。1点リードの5回2死、浅村の4号2ランで引き離した直後の打席。「狙いました。(浅村に打たれ)投手はガクッとなる」と、したたかだった。ロッテ酒居の直球に絞っていたから、カーブ、フォークと続けて見逃し、追い込まれても動じない。3球目。狙いとは違ったが、スライダーが甘く来た。弾道一直線。相手の遊撃手がジャンプ、はしなかった。左中間上段へたたき込む6号ソロを放った。

 3点ビハインドを、あっという間にひっくり返し、引き離す。だが、今の強さは、7回にこそ凝縮されていた。先頭源田が二塁打を放ち、浅村、山川の連続適時打で2点追加。前打席で1発を放った2人が大振りすることなく仕留めた。終盤で6点差に突き放し、敵の希望を砕いた。山川は「4点差でも勝ったとは全然思っていなかった。最後の追い打ちが大事」と胸を張った。辻監督は「次の1点と、いつも言っている。何点あってもいい。野球は怖い。自分の打席を大切にするのが一番。成績もあるし、変な打撃をすると調子を崩すこともある」。就任以来、言い続ける「次の1点」の徹底に目を細めた。

 早くも貯金10。18試合内での到達は、63、64年前までさかのぼる。野武士軍団・西鉄の怪童も目を細めた。

 中西氏 辻監督がベテランに若手も使いながら、選手の特長を引き出している。僕らの時も、大ベテランの大下さんがいて、三原大監督が私や豊田君を欠点があっても使い、1年1年、選手を作り出した。我々の時に似ている。ソフトバンクに勝つのは大変なことだが、今年はチャンスだ。

 辻監督は「10になったということは、0になったと考えましょう。また1つ1つ増やせるように」と引き締めた。得点と同じ。貯金も、次の1つを取りにいく。【古川真弥】