あぁ大山、大ブレーキ-。阪神が巨人に完封負けを喫し、勝率5割に逆戻りした。元気のない打線の象徴となったのが今季初めて8番に降格した大山悠輔内野手(23)。チャンスがことごとく回ってきたが、2度の満塁を含む3度の得点機をつぶしてしまった。苦しむ2年目の和製大砲候補に、金本監督はタイミングの取り方など、変化を求めた。

 クラブハウスへと向かう25段の階段を重い足取りで上がった。今季初の8番に降格した大山は何度もチャンスで凡退し、うつむきながら引き揚げる。「すみません…」と話したきり、口をつぐんだ。今季2度目の完封で巨人戦4連敗。勝率5割逆戻り。週末の甲子園はモヤモヤしたムードに包み込まれた。

 3点を追う6回1死満塁で打席が巡ってきた。2番手の沢村に2球で追い込まれたが必死に球を見極め、ファウルで粘る。フルカウントの8球目だ。裏をかく内寄りフォークに完全に詰まらされて投ゴロ併殺打。追い上げムードは瞬く間にしぼんでしまった。大山にとってツキもない1日だった。2回1死一、二塁で、ライナーは一塁岡本の正面へ。二塁走者の原口が戻れず、痛いダブルプレーとなった。

 4回の2死満塁では田口の内寄りスライダーを一、二塁間へ。だが、抜けようとする白球は二塁吉川尚に好捕された。大山の必死のヘッドスライディングも及ばず、得点にはつながらなかった。得点圏で3度凡退して9回は今季初めて代打を送られた。金本監督も苦虫をかみつぶした表情だ。

 「(6回のフォークは)見逃せば…。なかなか、手が出るところですよね。ちょっと右を狙いすぎているような気がする。差し込まれすぎですよね、大山も。タイミングを変えていかないと、自分で。工夫して。同じように立っていたら、永遠に打てませんし」

 吉川尚に捕られた一打も詰まらされていた。開幕戦こそ、東京ドームの右翼に本塁打を放つなど好発進したが、豪快に引っ張る姿も影を潜め、打率は1割台に停滞。得点圏で19打数1安打の打率5分3厘。試行錯誤を重ねるが、本来の間合いなど、調子は上向かない。片岡ヘッド兼打撃コーチも「一塁ライナーか、一、二塁間の(打球の)どちらかが抜けていればね。チャンスで回っている分、プレッシャーを感じているのかな」と嘆いた。

 開幕から全試合先発出場を重ねる。悩み苦しむ日々だが、いばらの道を抜けた先には必ずや、光がある。プロ2年目。大きく育つための試練だ。【酒井俊作】