阪神金本知憲監督(50)が逆襲の大号令だ。23日は甲子園で休日返上の全体練習を行い、ベテラン福留、鳥谷ら主力も集結。ロングダッシュや長時間の打撃練習などで汗を流した。不調が長引く大山悠輔内野手(23)には「引っ張れ」と指令。強く引っ張る柵越えも見られた。チーム打率、盗塁数はリーグ最下位で、借金1を背負う。大汗をかいて、巻き返していく。

 無人でがらんとした甲子園にタテジマ戦士が続々と姿を現した。松山への移動を控える休日だが、ベテラン福留、糸井、鳥谷ら主力も姿を見せ、若手と外野のポール間をダッシュした。通常、試合前に行う約8分の打撃練習を4分ほど増量し、みっちり振り込んだ。当初は先発投手の練習予定だったが前日22日に巨人3連戦3連敗を喫し、急きょ全体練習に変更。屈辱をはね返すアクションだった。

 今週半ばに2日間、試合がない変則日程だが、この時期からナイン総出で汗を流すのは珍しい。金本監督も「(打線は好不調の)波もあるしな。でも、待っているだけじゃダメというのもあるから、こうやって練習している。打ててないから。何かきっかけ作りのために各自がそれぞれやっていこうと」と説明した。直前の巨人3連戦はわずか3得点。チーム打率2割2分2厘のリーグ最下位から抜け出せない。若手野手は室内練習場で約1時間、振り込んでから屋外へ。ひたすらバットを握り続けた。

 3連敗で借金生活に入ったが、金本監督は動じずに復調を待つ。打率1割7分5厘と、もがき苦しむ大山も我慢強く先発起用する方針だ。「守れるしね。あれも大きな戦力だよ。何回、投手やチームが助けられてるか」。鉄壁の三塁守備は高評価。あとは打撃での浮上を待つ。金本監督は「もっとガンガン、引っ張っていい。差し込まれているから、右に狙っているように見えるのか」と指摘。17日には豊橋で猫背NG指令を出していたが、今度は引っ張りのススメを説いた。

 金本監督は現役時を振り返る。「俺も逆方向をよく狙っていたけど。振るまでの話だからね。気持ちと。そういう意識で引っ張れる球は引っ張ればいい」。左方向を意識しつつ、甘い球が来れば瞬時に引っ張ったという。

 この日、大山は豪快に強振し、何度も左翼に柵越えさせていた。前夜の敗戦後、指揮官は「選手が悔しい思いを持っているかどうか。ここが一番、問題ですわ。持っていない選手は使えない」と語気を強めていた。休日返上し、今日24日ヤクルト戦(松山)から仕切り直す。悔しさ、ふがいなさは、すべて白球にぶつける。【酒井俊作】

 ▼阪神はチーム打率2割2分2厘、55得点、134安打、9本塁打、1盗塁と、5部門すべてセ・リーグ最低。2リーグ分立後のプロ野球最少盗塁数は04年巨人の25だが、大幅に下回る恐れがある。