打棒が完全に覚醒したDeNA筒香のとなりには「梶さん」がいた。今カードから左中間のディフェンスコンビが復活した。「懐かしいなぁという感じですね」と筒香から笑みがこぼれる。巨人との今カードから「1番中堅」に起用された梶谷隆幸外野手(29)と、16年6月以来約2年ぶりに組んだ。

 前任の中畑監督の下、2人が左中間のレギュラーとして頭角を現した。新戦力の象徴的な存在となっていたころ。14年8月13日の中日戦で打球を追った2人が激突した。ナゴヤドームで筒香はあおむけに倒れ込み、外野に乗り付けた救急車に緊急搬送され入院するほどの衝撃。翌朝、病室に見舞いにきた梶谷に「梶さん、気にしないで」と声を掛けたが、一時離脱した。病室のテレビで試合を見る日々。3日後の16日、画面越しにエールが届いた。

 阪神戦で本塁打を打った梶谷が、ダイヤモンドを1周した後、テレビカメラに向かって指で「2(つ)2(つ)5(ごう)」。ヒーローインタビューでは「筒香見てた? ホームラン打法です」と声をあげた。当時、チームの看板を背負うべく急成長を遂げていた筒香の負傷離脱。控えめな男が責任を感じて「ゴウが戻るまでは自分が何とかしたい」とまで言った。その指のエールは、今では「5(ゴー)5(ゴー)2、2、5」と、いつの間にかスタンドのファンが受け継ぎエールを送っている。

 その梶谷も5回に2ランを打ち、この3連戦で14打数7安打2本塁打4打点と大爆発し「ゴウが打つと雰囲気が変わる。チームが乗っていける」。コンビ復活した2人が、一緒に上昇気流に乗っていく。【栗田成芳】