値千金の1発で、巨人のエースから大きな1勝を手にした。5回1死、そこまでパーフェクトに抑え込まれていた巨人菅野から、阪神糸井嘉男外野手(36)が右翼スタンドへ、通算150号となる先制ソロアーチを放った。文字通りの虎の子の1点を先発岩貞祐太投手(26)からの完封リレーで守り切り、チームは勝率5割に復帰した。

 右手一本で白球を押し込んだ。糸井が放った打球は浜風を切り裂き、右翼スタンドへ。スタンドインの瞬間は驚きの表情を浮かべたが、ベンチに帰ると白い歯をこぼしながら、チームメートがハイタッチで迎えた。史上167人目となるプロ通算150号。記念の花束を渡されると、帽子をとり、声援に応えた。

 「節目の本塁打を日本を代表する投手から打つことができて光栄です。甲子園で打ちたいなと思っていたんですけど、それが達成できてよかったです」

 菅野から甲子園での勝利は14年5月11日以来の勝利。難敵に苦しめられている中での1発だ。4回まで完全に抑え込まれていたが、菅野が投じた真ん中低めのカットボールを曲がりきる前で捉えた。「ほんまにどうやって打ったかわからない。毎日不利な風吹いてますけど。やっぱり声援が後押ししてくれたと思います」と球場を盛り上げた。

 巨人とはこの試合を迎えるまで9試合で2勝7敗と大きく負け越し。4月20日からの3連戦(甲子園)で3連敗し、当初は休日だった23日に、チームは全体練習を行った。糸井はその屈辱を思い出し「(巨人に負けたら)また練習せなあかんからね。移動日に」と笑った。

 この日の勝利でチームは3連勝となり勝率も5割に復帰。目標として掲げた交流戦前の借金返済どころか貯金を持っての突入も見えてきた。猛虎打線の中軸を担う超人がチームを引っ張った。【古財稜明】