5-5の延長10回1死二塁。打席に立った日本ハム鶴岡慎也捕手(37)は、汚名返上に燃えていた。1点リードの7回の守備から、若い石川亮に代わってマスクをかぶった。だが8回、ここまで今季無失点だった中継ぎエースの宮西と組んで、まさかの被弾。試合を振り出しに戻してしまった。「僕のしょうもないリードで本塁打を打たれていたので、集中していた」。西武のストッパー増田の直球に反応し、勝ち越しの右中間適時打二塁打を放った。

 「延長戦になった悔しい思いを込めて(バットを)精いっぱい振りました」と“ツルの恩返し打”を振り返る。ソフトバンクから5年ぶりに古巣復帰後、初となったヒーローインタビューで、声を弾ませた。

 チームは、ひたひたと首位西武に迫って来た。本拠地での開幕カードは西武に3連敗して最下位スタート。5月8日には首位と6あったゲーム差が、気が付けば、2ゲーム差の2位にいる。貯金は今季最多タイの6だ。かつて、ダルビッシュ(カブス)の女房役として日本ハムの黄金期を支えた鶴岡は「ライオンズは、これからも倒していかないといけない相手」と気を引き締め「5年前と雰囲気は変わっているけど、また秋に優勝してファンと一緒に喜びたい」と、逆転Vを思い描いた。【中島宙恵】