阪神植田が早くも今季の盗塁数を2桁に乗せた。

 初回、先頭打者で四球を奪うと2番糸原の2球目に好スタート。「甲斐キャノン」と称される当代屈指の強肩より早くスパイクを滑り込ませ、二盗に成功。「いいスタートが切れたと思います」と振り返った。

 甲斐の盗塁阻止率は前日29日までパ・リーグ2位の3割2分1厘。その“難関”をいきなり突破すると、糸原が進塁打の二ゴロ、福留が中犠飛。ノーヒットで先制点を奪った。

 2桁盗塁の意識は「特に何もないです」。22歳になったばかりのプロ4年目。高卒4年目シーズンまでの年間2桁盗塁は、阪神では93年の新庄剛志(21歳で13個)以来、25年ぶりだ。

 初回の1点を含め、阪神の3点はいずれも“足攻”から生まれた。3回も2死から右前打で出た糸井が初球にゆうゆうと二盗。その後、暴投で生還した。5回は無死一塁で一塁走者植田と打者糸原がヒットエンドランを試み、遊ゴロながら1死二塁を作った。これも暴投による同点シーンへとつながる。走者のスタートはいずれも投手の癖を見抜いたように、思い切りがよかった。慣れない対戦相手だったが、綿密な準備が甲斐キャノンを無力化させた。【柏原誠】