仙台市出身のヤクルト由規投手(28)が、7年ぶりに凱旋(がいせん)登板した。先発して初回から3者凡退に抑えるなど、持ち味の速球も150キロをマーク。勝ち投手の権利間近の5回裏に2失点し、追いつかれて途中降板したが、ビジターながらも大きな声援を浴びた。試合は8回に勝ち越したヤクルトが3-2で勝って4連勝。楽天は交流戦勝ちなしの4連敗となった。

 由規が故郷に帰ってきた。初回から140キロ台後半を連発。2-0とリードした直後の3回裏には、先頭のウィーラーを、この日最速の150キロ直球で右飛。四球連発で2死満塁の危機にも150キロを投じて田中を三飛に封じた。「ビジターですけれど、ここはホームだと思っているので良い気持ちで投げられました」。両親や兄弟、友人ら2万5000人を超える観衆の前で勇姿を披露した。

 09年から3季続けて、楽天田中将大(29=現ヤンキース)と同地で投げ合った。だが、11年に右肩を痛め、13年に手術。150キロ超の速球で全国区になった、仙台育英時代から愛着のある球場での登板が、復活への目標の1つでもあった。「ピッチャー由規」の場内アナウンスに大きな拍手が起きた。走者を背負えば「由規頑張れ~」の激励も。「ここのマウンドに立ちたい気持ちも強かったですし、たくさんの声援に乗せてもらいました」。楽天エース則本との投げ合いは、見応え十分だった。

 だが、5回に死球から崩れた。「なんとか粘り強く投げようと思っていた。抜け球で死球を与えてしまったことがもったいなかった。タイムリーも逆球でした」。2死二、三塁で田中に左中間への適時二塁打を喫して同点とされた。ペゲーロに四球を与えて5回途中4安打5四死球2失点で降板。「もう少しイニングを投げたかった」と残念がり、ベンチに下がった。

 今季2勝目はならなかったが、チームの勝利には貢献した。由規にとって、仙台の地から力を得たことは確か。移動バスのナンバーが自身の背番号と同じ「仙台11」と知ると、ニコッと笑って乗り込んだ。【鎌田直秀】