交流戦の頂点が視界に入った。ヤクルトが敵地でパ・リーグ首位の西武に競り勝った。2点を追う8回、小川淳司監督(60)が打線の枢軸である坂口、バレンティンに連続で代走を送る勝負手。終盤の2イニングで4点を奪い、一気に試合をひっくり返した。駒を余さない総力戦で奪った1勝で、交流戦1位マジックは2。早ければ今日15日にも初の1位が決まる。

 冷静沈着な小川監督の声が上ずっていた。8回に2点を奪って追いつき9回に2点を勝ち越しての逆転勝利で交流戦首位を守った。「いい攻撃だった。粘りのある、いいつなぎだったと思います」と興奮冷めやらぬ表情で振り返った。

 攻めの采配で勝利をたぐり寄せた。2点を追う8回無死、先頭の坂口が四球で出塁すると、迷わずジョーカーを切った。左肘を痛めて代走待機の山田哲を投入。西武バッテリーにリーグトップ15盗塁の足を警戒させて、バレンティンの適時二塁打を演出した。

 間髪入れず二の矢を継いだ。俊足上田を代走で二塁に置き交代直後のワグナーに重圧をかけた。1点を追う終盤で攻撃力の高い2人を同時にベンチに下げる、ベンチがリスクを背負う勝負手。下地には「1球、ワンプレー、1つ1つに執念を持って取り組む。それが勝ちを呼び込むと思って徹する」という監督復帰した今季、絶対にぶらさないと決めた信念があった。

 攻めだるまと化した指揮官の思いは伝わった。無死一、三塁から川端が同点適時打。9回2死一、三塁から雄平と川端が連続適時打でひっくり返した。最後にベンチに残った野手は捕手井野だけ。「8回は何とか攻撃的にいかないと。相手のリズムを崩す思いだった」。執念をたぎらせた総力戦で17年ぶりの6カード連続勝ち越しを決めた。

 球団初の交流戦最高勝率までマジック2。今日にも最高勝率が確定する。青木は「もちろん当面の目標」と総意を代弁し、小川監督は「4試合残っている。1戦1戦戦うだけ」と締めた。今日から敵地で日本ハム3連戦。勝利の味を知りはじめた燕軍団が北の大地でも縦横無尽に飛び回る。【浜本卓也】

 ▼ヤクルトの交流戦1位マジックが2に減り、早ければ今日にも1位が決まる。条件はヤクルト○、5敗のオリックス●、6敗のソフトバンク、西武、ロッテが△か●。ヤクルト○、オリックス●で両球団が12勝6敗に並ぶケースがあるが、2球団が同率で並んだケースは直接対決で勝ち越しているチームが上位。ヤクルトはオリックス戦に勝ち越しているため、ヤクルト○、オリックス●、6敗の3チームが△か●で1位が決定。