日本ハム上原健太投手(24)が「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦でリアル二刀流の活躍を見せた。投げては常にセットポジションから「自分の気まぐれに付いてこられる人はいない」と、適当なペースでクイックモーションを織り交ぜ、5回3安打1失点で今季初勝利を飾った。

 打撃では気まぐれではなく「大マグレです」というプロ初本塁打を放った。5回に右中間へ1号ソロ。2年前に上原の二刀流プランを示唆したこともあった栗山監督から「二刀流の資料を、また引っ張り出します」と、独特の言い回しで称賛された。

 覚悟を決めた夜がある。中継ぎとして初の開幕1軍も調子を落としていた4月20日。札幌ドームでのソフトバンク戦後、監督室に呼ばれた。2軍降格を決めた栗山監督から「2軍で4試合、先発で投げてこい。結果を残さなかったら、本当にユニホームを脱がす」と、通達された。

 15年ドラフト1位も2年間で1勝のみ。上原は「いつクビになってもいいくらいの覚悟が出来た。そこまで追い込まれていると再確認した」と振り返る。2軍戦では4試合20イニング4失点、防御率1・35と結果を出し、はい上がった。

 チームも2年ぶりの交流戦勝ち越しが決定。首位西武にも1差に迫った。高校野球の名門、広陵出身の大型左腕は「広島で、いい姿を見せられてうれしい。これを続けていきたい」。この日が、まぐれではない活躍を続ける覚悟も決まった。【木下大輔】

 ▼投手の上原がプロ初本塁打。パ・リーグ投手の本塁打は16年7月3日大谷(日本ハム)がソフトバンク戦で記録して以来となり、交流戦では11年6月15日フィガロ(オリックス)以来、7年ぶり7人目。大谷は通算48本打っているが、投手で登板した試合では16年の1本だけだった。