球界の「継続は力」に潜入する。4月23日、連続2215試合出場の日本記録を持つ衣笠祥雄氏が死去。5月29日には、阪神鳥谷敬内野手(36)の記録が同2位の1939試合でストップした。続けることの偉大さがフォーカスされる今、歩みを止めない“鉄人”たちに思いを聞いた。

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 「サブローーーー」でおなじみ、ロッテの場内アナウンスを務める谷保恵美さん(52)。1軍公式戦担当が5月18日で1700試合、6月1日で連続1500試合に到達した。「つば九郎から、うちのキャラクター担当を通してメッセージが来ました。『まだまだだな』って」。あの人気マスコットと、刺激し合っている。

 “1軍デビュー”は91年の川崎球場。複数人で回す球団が多い中、96年10月からは1人で皆勤賞。手洗いうがいは欠かせない。冷えないよう夜は首にタオルを巻いて寝る。風邪菌が胃酸に弱いと聞くと、水の飲み込み方も気を付けるようになった。「テレビで見て、良さげなものはやってみます」。のどが商売道具だ。

 ピンチはあった。05年はホーム最終戦で40度の高熱が。「初芝さんの引退試合で。椅子にもたれてふわふわしながら、何とか終えました」。携帯電話を持っていなかった頃、通勤中に電車が止まると近くのカーディーラーに飛び込んだ。「電話を借りて、開場しといて! って伝えて。何とかタクシーで来たら、風で中止になってました」と笑う。

 勝って「試合終了でございます」と伝える瞬間が一番うれしい。夢がある。「千葉のお客さんと、マリンで優勝が見たいです」。まだ、辞められない。【鎌田良美】