広島大瀬良大地投手(27)が両リーグ最速10勝目を挙げた。7回3安打無失点。緩急を織り交ぜ、迫力に欠けた阪神打線を黙らせた。得点圏に背負ったのは3回の2死一、二塁だけ。救援陣が2点差に迫られるも逃げ切り、自己最多タイの白星に早くも達した。交流戦7勝11敗だったチームに再び勢いをもたらした。

 「リーグ戦が再開して最初の試合だったので、チームにいい流れを持ってきたかった。狙い球をしぼらせずにいい投球ができた。前回の反省も生かしながら投げることができた」

 前回15日ソフトバンク戦は3被弾の今季ワースト7失点KO。「左足の踏み位置がいつもより外側で腕が遠回りしていた」。修正を図り、今季初の甲子園に備えてきた。これで阪神戦は今季3戦3勝だ。

 昨年は対左打者の被打率が2割9分2厘あったが、今季は2割2分4厘に抑えている。昨秋キャンプからの取り組みが奏功。プレートの踏む位置を、一塁側から1年目に踏んでいた三塁側に戻した。「角度をつけて突っ込んでいくイメージ。キャンプでは投げづらかったけど、今はしっくりきている」。この日の3安打はすべて左打者だったが福留、糸井の3、4番を抑え込んだことも大きかった。

 緒方監督は「力のある真っすぐを投げ切れていた。カーブ、フォークも制球できていた」とたたえた。節目の勝利を周囲に感謝した大瀬良は「去年より自信を持ってマウンドに上がっている。次も投げる時はチームが勝てるように」と通過点を強調。ここまで安定感を欠く先発陣を柱として引っ張る。【大池和幸】

 ▼大瀬良が今季10勝目を挙げた。広島投手の両リーグ10勝一番乗りは16年野村以来7人目。野村の10勝到達は7月5日だったが、大瀬良は6月中にマーク。6月中に10勝到達は13年に24勝した田中(楽天)が6月25日西武戦で記録して以来となり、広島では08年6月15日ルイス以来、10年ぶり。広島の日本人投手で6月中に10勝は、82年6月10日中日戦で10勝目を挙げた北別府以来だった。