4番の最高の仕事だ。広島鈴木が今季2本目のグランドスラムを放ち、チームを5度目の同一カード3連勝に導いた。敵失で1点を勝ち越した9回、なお1死満塁でドリスの内角151キロ直球を強振。打席で左翼ポール直撃を見届け、ゆったりとベース1周した。

 「切れないでくれと思って見ていた。厳しい展開だったが、ああいうところが4番の見せどころ。しっかり打点を挙げられたのは本当に良かった。最低でも犠牲フライ、併殺崩れでも点が入ると考えていた」

 交流戦期間中は打率3割6厘、3本塁打、13打点と十分な成績。それでも「最近はあまり仕事ができていなかった」と不満そうな顔を浮かべる。チームが7勝11敗と苦戦。投手陣の崩壊が主な原因だが、4番として勝たせられなかったという責任感を負っていた。今季3度目の3安打。リーグ再開後は3戦連続打点と、自身も再び加速した。

 2位巨人と今季最大タイの5・5ゲーム差に広げた緒方監督は「5点差を追いつかれたのは早めに継投に出た自分の責任。野手が最後に、もうひと踏ん張り力を出し切ってくれた。本当に頭が下がる」と感謝。少し疲労感をにじませた鈴木も「このカードは取りたいと思っていた。3つ勝てるとは思っていなかった。粘れて良かった」と最後は笑顔だった。【大池和幸】

 ▼広島鈴木が4月28日阪神戦に次いで今季2本目、通算4本目の満塁本塁打。同一カードでシーズン2本の満塁弾は15年西武戦の藤田(楽天)以来で、広島では04年ラロッカが横浜戦で3本打って以来、14年ぶり。鈴木の1発は3番丸が申告敬遠で歩かされた直後。敬遠直後の満塁弾は昨年10月3日ヤクルト戦の山本(巨人)以来。満塁に限らず、今季から採用された申告敬遠直後に本塁打を打ったのは鈴木が初めて。