阪神金本知憲監督(50)が今日16日巨人戦(甲子園)の後半戦開幕を控え、打線の固定を理想に掲げた。7月から4番に入っている陽川尚将内野手(26)を名指しして「真の4番奪取」指令。若手が定位置をつかめば、攻撃の流れもできる。「腰をドッシリと固定して戦える」と期待たっぷりだ。打撃力アップが逆襲には不可欠で、虎の若き4番がそのカギを握る。

 借金3を背負って3位で前半戦をターンした阪神はいよいよ胸突き八丁の大勝負に突入する。後半戦開幕で相まみえるのは、宿敵の巨人だ。甲子園で全体練習をチェックした金本監督は「まあ、相手はどこでも一緒だし。(順位は)広島の方が上やからな」と、あくまで冷静。首位広島との7ゲーム差をどう縮めるか。見据えるのは頂点だけだ。

 課題は明白。チーム打率2割4分3厘、同280得点、同42本塁打はいずれもセ・リーグワースト。11日の前半戦総括で、指揮官も「まずは得点力。上げないと打開策はない」と語っていた。理想に掲げるのは打線の固定化。プロ2年目の糸原は6月上旬から1番に定着。攻撃の起点として存在感を示している。金本監督も「そうやって、結果を残しているから1番でいけるわけやし」と深くうなずき、自ら切り出した。

 「陽川にしても、ずっと結果を出し続けたら、もちろん、ずっと試合に出られるわけやからね。そうやって自然に、みんなチャンスをつかんでね。結果を出してくれれば、チーム力は上がる。腰をドッシリと固定して戦えるんだから」

 陽川はロサリオの代役として1軍昇格した6月以降にブレークし、7月1日ヤクルト戦から4戦連続で4番に座る。指揮官には前半戦「MVP」にも推された。今日16日も、プロ入り初めて巨人戦での4番起用が濃厚。チームの打力アップのカギは、やはり4番が握る。陽川も「前半戦とやることは一緒。チームに貢献できるようにやりたい」と意気込んだ。

 常勝軍団は腰を据えて戦う。セ・リーグ2連覇の広島は「タナキクマル」に象徴される1番田中、2番菊池、3番丸が打線をけん引すればパ・リーグ首位を快走する西武も秋山、源田、浅村、山川と不動の並び。打順固定が理想か問われた金本監督は「そらそうですよ。流れで自分の役割もおのずと分かってくる。そうなるにはまだまだ何年もかかる」と続けた。

 若手が台頭し、打線が活発になれば、逆転Vへのシナリオも見えてくる。その第1歩を今日16日、本拠地甲子園でのG倒で踏み出してみせる。【酒井俊作】

 ▼阪神が7ゲーム差以上を覆して優勝すれば、2リーグ分立後の球団史上最大逆転Vとなる。過去の最大ゲーム差は64年の6・5差。