広島が力強く再始動した。後半戦開幕の中日13回戦(ナゴヤドーム)で5-1と快勝。1回に丸佳浩外野手(29)が先制18号ソロを放てば、2回には松山竜平外野手(32)が8号ソロ。終盤も得点を重ね、主導権を渡さなかった。西日本豪雨の影響で、異例の中7日でのゲーム。ナインは野球をやれる喜びを体現するように躍動した。

 力強い1歩を踏み出した。広島が2本塁打を含む今季32度目の2桁安打で、試合前まで今季1勝5敗と鬼門だったナゴヤドームで勝利。中7日のブランクも感じさせない猛打を見せつけた。1回に丸が中日先発吉見の失投を仕留めると、2回には松山がソロ。特別な思いを乗せた広島ナインのバットは中盤、終盤につなぎの攻撃で得点を重ねた。投打がかみ合った白星を、復興へ向かう広島に届けた。

 前半戦最後の試合から8日ぶりの実戦だった。前半戦最終カード(9日から11日までの阪神3連戦)は西日本豪雨の影響で中止となった。8日まで東京遠征に出ていた広島ナインは広域にわたる被災の大きさを目の当たりにし、ベテラン新井は「野球で元気をとよく言うけれど、そういう時期じゃない」と沈痛な表情を浮かべていた。

 一部通行止めとなっていた高速道路が全面解除となるなど、広島の町は徐々に復興へ向かっている。ただ、依然安否不明者がいる中、野球をすることが正解と、はっきりとは言える選手はいない。それでも丸はナインの思いを代弁するように「僕らができることは限られている。何とか被災した人たちの力となるよう。そういう気持ちを常に持っている」と話した。選手たちがグラウンドで見せるプレー、そしてカープの勝利が明るい光となることを願って、前を向く。

 試合前には中日の森監督や選手たちとともに広島から緒方監督や会沢選手会長ら3選手が義援金の募金活動に参加した。緒方監督は中日とファンの協力に感謝し「あとは試合でいいプレーをグラウンドで見せるしかない」とファンに約束。言葉通りに鬼門を突破し、後半戦白星スタートで貯金は最多タイの12となった。ファンに戦う姿を、勝利を、そして3連覇を。広島は突き進む。【前原淳】