負けない、しんちゃんだ! 巨人宇佐見真吾捕手(25)が先発クリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(24)とのコンビで阪神戦を制した。育成出身左腕の特長を引き出し、7回を6安打無失点。チームを7連勝に導き、首位広島と5ゲーム差に縮めた。スタメンマスクを務めれば7戦7勝。昨季は劇的一打で「2代目サヨナラしんちゃん」としてブレークしたが、負けない配球も輝き始めた。

 勝利への最短ルートを突き進んだ。初回無死、宇佐見は外角低めにミットを構えた。メルセデスの直球は要求通りにストライクとなる。糸原を2球で追い込むと、カウント1-2から128キロのスライダーで見逃し三振。「CC(メルセデス)の良さはテンポの良さ。早めに打ち取るのを意識した」と、わずか4球で主導権を握り、初回を10球で終わらせた。7回までで3ボールとなったのは2回だけ。無駄な球数を省き、無失点で白星へと到達した。

 情報収集は欠かさない。スタメンマスクをかぶった試合は7戦7勝、防御率2・03で勝率10割。外国人投手とのコンビで5勝を挙げる。勝利の隠し味は通訳に試合後の感想を聞くこと。投げた本人がポロリとこぼす会話の内容から修正点を洗い出す。「僕もそうですが、組む投手は結果を出さないと2軍に落ちてしまう。だから絶対に勝ちたい」と細やかに勝つための確率を上げる。

 野球人生の配球もしっかり組み立てていた。11年の高校3年夏、市柏で千葉県大会4回戦敗退。翌日、部室を掃除しながら進路を考えた。監督には大学でプレーする実力はあると太鼓判を押されたが、プロは夢のまた夢。もし、夢をかなえるならばと頭を働かせた。「東都とか強豪リーグでは自分よりうまい選手はたくさんいる。ならば1年生から出場機会をつかみたい」。候補から千葉大学リーグの城西国際大に決めた。

 翌日から、大学生に負けない体作りを始めた。1日3食の丼飯に加えて、カップ麺とクリームたっぷりのシュークリームをほおばった。1カ月で体重は10キロ増の80キロ。「筋力もついて、1年生から出ても負けない体になった」と振り返る。

 昨年はプロ初本塁打がサヨナラ弾と打力での貢献が光ったが、今年は守備で魅了する。「投手陣の状態がいい中で守らせてもらってるからです」と謙遜するが、不敗神話は続く。負けないしんちゃんで、広島の背中を追う。【島根純】