山賊たちに猛暑は通じない。西武山川は「全然、暑くないです」と言い放った。人いきれでムワッとする試合後の北九州市民球場。先制打を含む2安打3打点でソフトバンクに打ち勝った主砲は沖縄出身。さすが…「いえ、メットライフドームと比べたらです」。蒸し暑さで知られる本拠地で、たくましく育った。

 前日までのドームと一転、炎天下で始まった。練習開始の午後4時時点で34度。球場正面には「本日の暑さ指数」が張り出され「厳重警戒(激しい運動は中止)」の警告文がおどろおどろしかった。後半戦開幕前、辻監督も訓示した。

 「よく寝て、よく食べて、体調管理を注意していこう。ヤマは、まだまだこれから。秋に、みんなで喜びを分かち合おう」

 ところがだ。山川だけじゃない。2回に2点適時二塁打を放ち、8回にはリードを9点に広げるダメ押し3ランの浅村も「試合が始まったら涼しかった」とケロリ。食欲も減らないという。みんな、暑さには耐性がある。

 思いはホットだった。後半戦開幕カードは前日まで2連敗。首位は保つが、相手は昨季王者。この日も負ければ勢いづかせる。試合前の円陣で山川は言った。

 「2つ、やられているから、今日はどんな内容でも勝ちましょう!」

 浅村も「ここを倒さないと。毎年やられている。3つ負けると、これからのダメージがでかい。1つ取れてよかった」と、1勝の意味を説いた。頼もしき山賊たち。白星1つ引っ提げ首位を守り、東へ帰る。【古川真弥】