右足腓骨(ひこつ)を骨折し、戦列を離れていた阪神糸井嘉男外野手(36)が、豪快な復活アーチを横浜の空に打ち上げた。1軍昇格したばかりのDeNA13回戦で、3回に勝ち越しの11号3ランを放った。帰ってきた超人が、チームの連敗を5で止め、後半戦初勝利を運んできた。

 グッと踏ん張りを利かせて振り切った。何事もなかったかのように、糸井は打球方向を確認しながら走り出した。右翼席に着弾する11号勝ち越し3ラン。1軍復帰戦で超人が豪快に帰還を告げた。

 「連敗が止まったのが大きい。チームに迷惑をかけてしまっていたので貢献したい気持ちでいっぱいでした。いい結果になってくれて良かったです」

 同点の3回1死一、二塁。「審判に注意されたから。着けたらあかんって…」と、患部を守るために装着していた特注のレガーズを外した。死球や自打球による直撃を避けるための“再発防止”だった。右足は骨折しており、完治まではいっていない。それでも渾身(こんしん)の一振りで虎を後半戦初勝利に導いた。

 スパイクも替えた。今季は膝にかかる負担を少しでも軽くできるように「厚底にしてほしい。ちょっとでも軽めで」と足裏にこだわりを見せ、前歯は従来通りの金具だが、かかと部分はポイント(ゴム)のものを使用。だが、この日は歯の全てが金具のスパイク。足への負担よりも、地面をかみしめる感覚を優先して放った1発だった。

 金本監督は「いいところでワンパンチの1発。(レガーズは)NPBに申請しないといけないけど、してなかったみたい」と説明。試合中にNPB担当者と連絡がつき、4回裏終了時には「許可下りましたよ」と審判に伝え、4打席目からは再装着できた。待ち遠しかった超人復帰。首位広島の背中は遠いが、虎に希望の火がともった。【真柴健】