いよいよ本領発揮だ。5番一塁でフル出場した阪神ウィリン・ロサリオ内野手(29)が、2打席連発を含む3安打3打点の大暴れ。猛打賞は5月18日中日戦以来で、1試合2発は来日初。崖っぷちから1軍に返り咲いた助っ人が、見事な反発力で猛虎打線を勢いづかせた。

 2回先頭の第1打席、DeNA石田の高めに抜けたフォークを逃さず、フルスイングで捉えた。大きなフォロースルーが会心の当たりを物語る、推定140メートル弾。「抜けてきたボールをミスショットせずに自分のスイングで捉えることができたね」。1発にとどまらなかった。3回、糸井の3ランの直後、高めに浮いた141キロ直球を、またしても左翼上段にぶち込んだ。

 徹底したこだわりが実を結んだ。フリー打撃の打ち始めは必ずスローボールから。しっかりとフォームを確認するためで、打撃投手は「(ロサリオからの)注文ですね。最初の3球は必ず緩い球を投げてくれと」と明かす。2軍調整中もそのルーティンを貫き通し、着実に状態を上向かせた。この日の試合前の打撃練習では2発の場外弾を披露し、豪打の予兆を見せていた。

 金本監督は「まだまだ。右投手のスライダー系がどこまでという。フォークとかね。これからまた、攻めも変わってくるかもしれないし」と冷静な見方を崩さないが、それも期待値が高いゆえ。指揮官から後半戦巻き返しのキーマンにも指名されたロサリオは「いい感じで打ててるので、これをなんとか続けていきたいですし、それがファンの人、チームのためになると思うので、これをなんとか続けてチームに貢献したいと思います」と力強く意気込んだ。【吉見元太】