トリプルスリーへ、視界良好だ。ヤクルト山田哲人内野手(26)が4-4の8回1死、3戦連発となる決勝の22号ソロを放った。全4打席で出塁し、二盗を2度成功。20日からの中日3連戦で4本塁打4盗塁と打って良し、走って良しの活躍だ。チームは3連勝を飾り、単独3位となって2位巨人とは1・5ゲーム差。夏男の山田哲が、ヤクルトをけん引していく。

 5回終了時に300発も打ち上がった神宮の花火のフィナーレを飾ったのは、夏男の山田哲だった。8回1死、中日又吉の内角直球を軸回転ではじき返した。打った瞬間に本塁打を確信し、バットを手放して左翼方面の夜空に目をやった。本塁打王争いでトップに立ったバレンティンに並ぶ一撃を、「自分でもまさか本塁打になるとは。内角も頭にあった分、反応できた」と汗だくで振り返った。

 空中だけでなく、地上でも観客を魅了した。3回の四球後に今季20盗塁目となる二盗に成功。5回は内野安打で出塁すると「走れ」コールの中で再び二盗を決めた。本塁打と同じく、盗塁も3試合連続と勢いが止まらない。「いける自信があったのでいきました。体が動いている。盗塁も積極的にいけている。体に疲れを感じていないですね」。

 夏場を乗り切る“山田哲の流儀”がある。夏バテ防止法は「休むこと(笑い)」。練習中も時間を見つけては大型扇風機の前で風を受ける。ただ「休む=サボる」ではない。「疲れをとるというよりも、いかに体力をキープできるかが大事になると思うんです。僕も5年間出続けていますからね」。この日の練習ではトス打撃のスイング量を減らした。「疲れちゃうから。でも大丈夫ですよ」。経験と豊富な練習量に裏打ちされた自信があるからこそ、今季は勇気を持って「休む」ことができる。昨年は2割4分7厘だった7月の打率は、今年はここまで4割3分8厘。山田哲流の方法を実践し、記録的猛暑の中でも本来のパフォーマンスを発揮している。

 後半戦を5勝1敗と好スタートを決め、明日24日からは2位巨人と3連戦。ゲーム差は1・5と背中が見えてきたが、山田哲は「まだ60試合残っている」と引き締めた。「結果が出ているので調子がいいと思うししっかり仕留められている。長く続けられれば」。3度目のトリプルスリーと昨季96敗からの逆襲へ向け、山田哲が走攻守で夏の夜を彩る。【浜本卓也】