楽天が息を吹き返してきた。本拠地での日本ハム戦に完勝し、平石洋介監督代行(38)が指揮を執ってからの通算成績を15勝9敗の勝率6割2分5厘とした。残り80試合で梨田前監督からバトンを受け継ぐと「打線の固定」「選手の見極め」「気迫を前面」と特色を発揮。立花社長が掲げた「50勝30敗」のノルマをキッチリ守っている。このまま突き進み混パを演出すれば、Aクラス入りも夢物語ではない。

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 またまた勝った。楽天が強い。後半戦が始まり、ここまで8戦7勝1敗。平石監督代行は「われわれは目の前の試合に勝つだけ」と気を引き締め直したが、常々話している「『常に状態のいい選手を』と考えている。あまり変えたくはないし、その上で、よりいい形を」との言葉に、青年代行が結果を引き寄せるポイントがある。

 1つ目は打線の固定だ。監督代行に就任した6月17日阪神戦から前半戦終了まで1~5番までを固定した。球宴明けからは、固めた上位打線の下に6番にアマダー、8番にペゲーロを置き、相手に油断を与えない重厚な打線にアレンジ。臨機応変に打線を組み替えた梨田前監督と対照的にどっしりと腰を据え、つながりを生んでいる。

 一方で中継ぎの起用は状況に応じた自在さが光る。左腕の西宮は6月29日に1軍昇格すると、計7回1/3で1失点。13年目のベテラン青山や巨人、DeNAで高い経験値を持つ久保を時に中継ぎ、時にセットアッパーとして自在に用兵。開幕を2軍でスタートした3人を勝利の方程式に抜てきした。楽天一筋で現役を終え、1、2軍の指導者を歴任してきたからこその「眼力」がさえる。

 気迫でもチームをけん引する。前日24日の日本ハム戦では今江が左肘付近に死球を受けると、怒りをあらわにしベンチを飛び出した。イニング間には手をたたき、自ら盛り上げ役を買って出る。4打数4安打の銀次が「ベンチが本当にいい雰囲気。明るいし、勝つ方向に向かっている」と証言するように、一体感が出ている。

 平石楽天が固く結ばれている。それでも「勝っていくしかない。謙虚にやっていくだけです」と冷静。ブレずに突き進む。【栗田尚樹】