背番号25を悔いなく脱いだ。横浜(現DeNA)、巨人で活躍したBC栃木・村田修一内野手(37)が群馬との今季最終戦で5打数1安打。「勝利のために、最後の最後までいいつなぎができればと思った」とチームプレーを貫き、代名詞の本塁打は出なかった。セレモニーでは男泣きし「心からBCリーグに来て1年間、野球ができてよかったと思っています。今日をもって私は現役を引退します」と区切りをつけた。

3打席凡退で迎えた7回。先頭で打席に入り、131キロ直球を中前へはじき返した。ぎっしり埋まった6025人の観衆を沸かせ「本当にいい野球人生だった。今日、満員の球場で野球ができて幸せだった」。記念球を受け取り、感慨に浸った。

小学3年から野球を始めて、ちょうど30年。プロ入りした横浜(現DeNA)で9年、巨人で6年、栃木で1年の、16年のプロ生活は「背番号25」とともに歩んできた。今ではDeNA筒香、巨人岡本が継承。球界を代表するスラッガーに成長している後輩に刺激を受け「ゴー(筒香)に負けないように、和真(岡本)に負けないように、1本でも多く打ちたいと思ってやってきた」。ひときわ思い入れがある2人に「自分の背番号と思って使ってくれれば。いつか、次の世代にもつないでほしい」と託した。

涙でぼやける視界の先に未来を見据えた。今後については「(3人の)息子たちとともに勉強していくことが、たくさんある。息子たちを一人前の男にしていく父親としての役割を全うしながら、ともに前を向いていきたいと思います」。男・村田がゴールと同時に新たなスタートを切った。【為田聡史】