ヤクルトのドラフト1位村上宗隆内野手(18)が、プロ初打席で初本塁打を放った。2回1死一塁、カウント2-2から広島岡田の浮いたフォークを完璧にとらえた。「感触が良かったので入ったと思いました」。右翼への弾道を確認すると本塁打を確信して歩を緩め、右手の人さし指を夜空に突き上げた。

1回には先頭野間の三ゴロを一塁に悪送球し、プロ初守備で初失策。4失点の起点となったが、動じずにバットで本領発揮した。球団の高卒野手の初打席初本塁打は16年9月29日DeNA戦の広岡以来。「初回の失策を何とか取り返そうと思った結果。プロ初打席が本塁打になって良かったです」と、ほほ笑んだ。

未来を担う大砲候補だ。高校通算52本塁打の実績を引っ提げ入団し、打力を生かすべく捕手から三塁手に転向。過度の期待に初の1人暮らしと環境が劇的に変化する中、動じなかった。入寮時に持ち込んだのは使い慣れたマットレスと冷蔵庫。思い出の品など感傷的なものは置いてきた。「とにかく練習するだけです」。守備練習では懸命に打球を追い、バットも1年目から6~7種類も作るなど頭の中も野球一色にした。イースタン・リーグでは96試合で打率2割8分9厘、17本塁打、70打点と結果を残し、この日に1軍初昇格。両親が見守る前での初のナイター試合で、即先発起用に一発回答を示した。

背番号「55」は巨人やメジャーで活躍し日米通算507本塁打を放った松井秀喜氏のように育ってほしいとの願いで託された。「もっと打てるように。必死に食らいついていきたい」。日本ハム清宮と同世代の「燕のゴジラ」が確かな第1歩をしるした。【浜本卓也】

▼高卒ルーキーの村上がプロ初打席で本塁打。初打席本塁打は今年8月19日の山本(DeNA)以来64人目。ヤクルトでは16年9月29日広岡以来8人目となった。高卒新人の初打席本塁打は17年細川(DeNA)以来7人目で、チームでは前記広岡に次いで2人目。

<村上宗隆(むらかみ・むねたか)アラカルト>

◆生年月日 2000年(平12)2月2日、熊本市生まれ。

◆野球歴 兄の影響で小1で野球をはじめ、小4から詫麻南小野球クラブに所属し、ポジションは遊撃手、投手、捕手。中学時代は熊本東リトルシニアで捕手。九州学院では1年春から「4番一塁」でレギュラーを務め、県予選初戦の初打席で満塁弾を放った。1年夏に甲子園出場。高校通算本塁打数は52本。

◆趣味 ラーメンを食べること。休みの日には先輩と食べに行くこともある。

◆座右の銘 九州学院の坂井宏安監督から贈られた「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」。

◆家族構成 両親と兄、弟。

◆サイズ 188センチ、97キロ。足は29センチ。右投げ左打ち。血液型O。

◆バット ミズノ社製。長さ85・5センチ、重さ約890グラムで、DeNA宮崎モデル。

◆登場曲 安室奈美恵の引退にちなみ、この日は「Fighter」。