DeNAがクライマックスシリーズ(CS)進出へ、勝負の12連戦初戦に快勝し、加賀繁投手(33)の引退試合に花を添えた。5回に4番筒香嘉智外野手(26)が右翼席最上段へ、本塁打王争いのトップに並ぶ36号3ラン。1回1死、加賀からマウンドを引き継いだ京山将弥投手(20)は8回2/31失点で6勝目を挙げた。チームは3連勝で、3位巨人にゲーム差なしの勝率5毛差に肉薄した。

4番が特大の1発で、同期入団の加賀を送り出した。5点リードの5回無死一、二塁。筒香は7球目の内角146キロを思い切り振り抜いた。右翼席最上段に消える36号3ラン。「しっかりとしたスイングで強く打つことができた。感触は良かったです。加賀さんのためにも、今日は絶対、何としても勝ちたい試合でした」。打って、勝って、この日でユニホームを脱ぐ右腕の花道を飾りたかった。

9年前のドラフト会議。筒香の後、2位で指名されたのが加賀だった。年齢は6つ上でも同期として支え合ってきた。「寮でのいろいろな思い出もあります。本当にお世話になったので、思い入れは強いです」。1回の引退登板を終えると、マウンドまで行き、抱き合った。この時、右腕から掛けられた言葉は「頑張ってくれ」。バットで応えたアーチは、ともに切磋琢磨(せっさたくま)してきた横浜スタジアムで、節目の100号だった。

12連戦の初戦。加賀への惜別だけでなく、CS進出へ向けても重要な1戦だった。試合前には主将として選手だけのミーティングを開いた。「ここからの12試合で(CS進出チームが)決まる可能性が高い。みんなで頑張っていこう、ということを、伝えさせてもらいました」。

今月上旬。5位からの巻き返しに向け、主砲は力を込めて言った。

筒香 ここから大事なのは「勝ちたい」という気持ち。それしかない。

正念場を前に選手を集めたのは覚悟をともにし、一丸となるためだった。

チームは3連勝を決め、3位巨人とはゲーム差なしの5毛差まで詰めた。「今日みんなの勝ちたいという思いが存分に表れた試合でした。加賀さんが引退される日に、そういう試合が出来たことも良かったです」。この日だけは勝つためだけではなく、先輩のためにも打ちたかった主砲。加賀への感謝を込めた会心のひと振りは、DeNAに確かな勢いをつけた。【佐竹実】

▼筒香が36号3ラン。横浜スタジアムでの1発は今季17本目となり、通算では100本目。同球場で100本塁打以上は、横浜と巨人で147本の村田、102本の田代に次いで3人目。昨年まで筒香が横浜スタジアムで本塁打を放った試合は50勝23敗、勝率6割8分5厘だったが、今年は13勝2敗、8割6分7厘の高勝率をマークしている。