阪神2軍が、10年以来8年ぶり16度目のリーグ優勝を決めた。「超積極野球」を1年間貫き、矢野燿大2軍監督(49)が就任1年目で宙に舞った。マジック1で迎えた22日のウエスタン・リーグ広島戦(由宇)は0-4で敗れたものの、2位ソフトバンクがオリックスに逆転負け。優勝が決定した。10月6日のファーム日本選手権(KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎)でイースタン・リーグを制した巨人と対決する。

「超積極野球」の手応えに、矢野2軍監督の表情から充実感があふれていた。10年以来8年ぶりのリーグ制覇。監督就任1年目にしての快挙は勝利で飾ることはできなかったが、1年間共に戦ってきた仲間に囲まれ「背番号88」が6度宙に舞った。

「勝って胴上げしたかったですけど…、でもやっぱり気持ちよかったですね。1年間本当に充実してやれました」

3月16日のリーグ開幕戦のソフトバンク戦。惜しくも6-7で敗れたが、試合後、矢野監督の第一声は意外な言葉だった。「おもろいやろ? 俺もおもろいなと思ってた。こういうことが俺のやりたいことやった」。この試合の11安打中、7本が初球打ち。盗塁は5つ。初陣でいきなり「矢野流野球」をスタートさせた。

初志貫徹のリーダーだ。2月の2軍安芸キャンプ初日に明示された「3箇条」のスローガンを最後まで貫いた。

(1)超積極的 象徴は盗塁だ。今季これまでチーム合計「160」をマーク。13年にソフトバンクが記録した「156」を上回り、リーグ最多記録を更新した。「アウトになってもいいからトライしろよ。それで学んでくれたらいいからって」。勝利数も球団新記録を樹立。これまで最高だった「59勝」を大きく上回り、現在で「67勝」まで伸ばした。

(2)諦めない 矢野監督は常々、選手たちに「全力疾走」の大切さを伝え続けた。「凡打でも一塁まで全力で走ることがものすごく大変だと俺自身も思うし、でもそういうところを選手たちがやってくれた」。

(3)誰かを喜ばせる ファンに喜んでもらうため、自ら率先して体現してきた。この日も試合後自らファンのもとに向かい、1人1人にサインや写真撮影に応じた。「この選手応援したいなとか、あいつ気になるなと思ってもらえたら僕らもうれしい」。鳴尾浜での試合後にはヒーロー選手のマイクパフォーマンスも導入。ファンと触れ合いを大事にしてきた。

次はイースタン・リーグの覇者、巨人との“伝統の一戦”が待っている。10月6日に宮崎で行われるファーム選手権だ。「今度はグラウンド上で胴上げしてもらって、阪神ファンの人に喜んでもらってっていうところを目指して頑張っていきます」。日本一を勝ち取り、再び宙に舞う。【古財稜明】