ついにM1! 広島が今季8度目のサヨナラ勝ちでDeNAを振り切り、優勝マジックを1まで減らした。9回1死二、三塁で、松山竜平外野手(33)が自身5年ぶりのサヨナラ打を放った。デーゲームでヤクルトが勝ったため球団初のリーグ3連覇は持ち越されたが、今日24日にも緒方監督が本拠地マツダスタジアムで宙に舞う。

松山はフルカウントから三嶋のスライダーに食らいついた。鋭いライナーが二塁手の頭上を越えた。「絶対に自分で決める」。願いが通じた。サヨナラだ。マジック1だ。ナインの輪の中心で、もみくちゃになった。今季最多3万2309人が集まったマツダスタジアムのスタンドとグラウンドが一体化。歓喜の渦が巻き起こった。

「本当に何とも言えない。最高です。大振りせず、センターから逆方向というイメージで。三振せず、バットに当てようと思った」。丸刈りの頭を何度もたたかれ、物静かな男も笑顔を紅潮させた。

マジック2で迎えたこの日は優勝の可能性があったが、デーゲームでヤクルトが中日に勝利。勝っても胴上げは持ち越しに。松山は言った。「(ヤクルト戦を)みんな気にしていた。今日、決められたら良かったけど、うまくいかない。逆に自分らでしっかり優勝を決めようと。1つずつ(マジックを)減らせたら」。気持ちを切り替え、目の前の試合に集中していた。

8月は打率3割9分5厘もあったが、9月は2割に満たない。前日22日阪神戦は3打席まで無安打。途中交代を受け、試合後に打ち込んだ。「あまりにも悔しすぎた。感覚を取り戻したかった」。また一夜明け、試合前の練習にも変化をつけた。「いい形で打った方が調子のよしあしが分かるから」との理由で普段は直球だけ打つフリー打撃で、変化球を交ぜた。「いい感覚があった」と好感触を代打の1打席に込めた。

シーズンが深まり、チャレンジも試みた。バットの重さを変更。長さや重心位置はそのままで、920グラムから900グラムへと軽くした。「振った感じがだいぶ違う。この時期で疲れも出てくるし、いろいろ試したいなと」。試行錯誤しながら、初の規定打席到達も残り21打席に近づいた。

緒方監督は、劇的勝利を短く総括した。「選手全員で、いい野球をしてくれた。ファンにいい野球を見せてくれた。それだけ。あと1つ勝って、決めましょう」。松山もお立ち台で「みんなで勝って胴上げするぞ!」と叫んだ。27年ぶりの本拠地胴上げが、すぐそこにある。【大池和幸】