DeNAが負けない。ビジターでの広島戦は、2回に筒香嘉智外野手(26)の38号ソロで先制。握った主導権を2年ぶり先発国吉から6投手が小刻みにつなぐ「マシンガン継投」で渡さず、またもカープのリーグ3連覇を阻止した。ここ10戦8勝と破竹の勢いで、最大14あった借金は6。持ち味であるシーズン終盤の強さを発揮し、巨人に並んで3位に浮上した。

V阻止の号砲は、敵地の歓声を悲鳴に、歓喜を落胆に変えた。筒香が2回先頭の第1打席、左中間スタンドへ38号先制ソロ本塁打を運んだ。「広島は優勝目前で盛り上がっているけど、僕らもCS行くには勝つしかない」。優勝ムードを序盤からかき消す1発。同時に、チームの3位タイ浮上を後押しした。完全ビジターのマツダスタジアムで、筒香が試合の主導権を握った。

一進一退の攻防の中、冷静な選球眼を発揮しチャンスを広げた。1点リードの6回、ソトが四球で出塁すると、広島一岡の直球を真正面にはじき返す中前安打。乙坂のタイムリーにつなげた。同点の8回には剛球左腕・フランスアをクールに見極め四球。次打者ロペスの24号勝ち越し2ランを呼び込んだ。「スタジアムがいつもと違う雰囲気だと感じていたけど、去年CSをやっている。勝つことに集中した」。ここ2年、マツダでCSを戦った経験があるから、誰も敵地にのまれることはない。

12連戦、5戦目のまっただ中。最後まで戦い抜くために英気を養った。前日のデーゲームを終えて、この試合はナイター。空いた時間は宿舎で休養に努めた。「10時間も寝たんで、体は大丈夫。体力は有り余ってます!」。言葉通りの活躍も、試合が終わったときには「もう、疲れました…」。本塁打王争いで広島丸と並走する1発と、直近10戦8勝の勢いが、出し尽くした結果だ。

巨人をとらえ3位で並んだ。最大14あった借金は6まで減った。「9月に入ってチームがすごくいい雰囲気。どのチームも詰まっている状態。目の前の試合に勝つだけ」。今日から甲子園2連戦。勢いをつけて乗り込む。【栗田成芳】