巨人高橋由伸監督(43)が今季限りで退任することが3日、決まった。山口寿一オーナーが大手町の球団事務所で取材に応じ、同監督から辞任の申し出があったことを明かした。就任後、3年連続で広島の独走を許し、球団史上ワーストタイとなる4シーズン連続のV逸で指揮官自ら責任を取った。後任にはリーグ優勝7度、日本一3度を誇る名将、原辰徳前監督(60)が最有力候補として浮上した。

巨人高橋監督が3年間、懸命に振った盟主復活のタクトは、新指揮官に受け継がれる。高橋監督は広島市内のチーム宿舎で取材に応じ「監督を引き受けた時から『チームの勝敗は監督が背負うもの』と思ってやってきた。成績が良くないというところで、監督として責任を取らなくてはいけないし『責任を取ってやめます』というのを山口オーナーに直接、伝えました」と一大決心にも、冷静に話した。

新監督の輪郭ははっきりと浮かび上がっている。山口オーナーは次期監督の理想像に「難しい状況で引き受けてもらうことになる。そうするとやはり経験、実績というものは必要かなと思う」と説明。さらに「ジャイアンツの伝統を継承してほしい。そうするとやっぱり現役の時に重たいものを背負った、苦しんだという人が監督にふさわしいのではないか、というのがこれまでの巨人軍の考え方」と続けた。

第19代監督の最有力候補に、原前監督が挙がる。通算12年の指揮歴で、リーグ優勝7度、日本一3度と屈指の実績を誇る。15年にヤクルトに優勝を譲ったが、広島が今季初めて達成した3連覇を2度も遂げるなど、短期的な強さではなく、黄金時代を築いた。

眼力も突出している。14年ドラフトで智弁学園の大砲だった岡本を高く評価し、1位指名。入団当初は長嶋氏の3番、原氏自身の8番を合わせた38番を与えた若武者は3年の雌伏を経て、今季大きく芽吹いた。試合中の采配も王道をベースに、変幻自在に、時に厳しさも交えてチームを常勝へと導いてきた。

3年間、チームから離れているが、現メンバーの特徴も把握している。名将は山口オーナーが挙げる理想像に合致し、今後一本化していく可能性が高い。原氏はこの日、取材に応じ「現時点では本当に何もお話しすることはありません。その言葉以外ないですね」と話した。

球団史上ワーストタイとなる4シーズン連続のV逸からの立て直しは難行だ。かつて「ジャイアンツ愛」という名フレーズで巨人を包んできた原氏を筆頭候補に、再建が託されることになる。