阪神金本知憲監督(50)が11日、17年ぶり最下位の責任を取って、就任3年目の今季限りで辞任すると表明した。

  ◇  ◇  ◇

既定路線だった金本監督の続投方針は、急転直下でひっくり返った。監督は来シーズンに向けての組閣に着手するなど巻き返しに意欲を示していた。一方、球団幹部はメディアに続投を明言し続けた。

それが、ここにきて180度覆ったのは、阪神電鉄本社幹部の強い意向が働いたからだろう。チーム低迷、集客力減少などが重なって、金本監督は追い詰められた。極めて“解任色”の濃い辞任といえる。

現場だけの責任ではない。昨オフ、球団が金本監督と3年契約を交わした事実は長期政権を示唆し、「育てながら勝つ」といった旗印を貫いた証しではなかったのか。球団経営に対する見通しの甘さは、本社-フロントにも責任がある。

歴史は繰り返される。11年シーズンの夏場、真弓監督に続投が伝えられて受諾したにもかかわらず、最終的にAクラスを逃して辞任に追い込まれた。ここでもフロントの信念のブレが悲劇を招いたのは、今回の一連の動きにダブって映る。

坂井オーナーがこのタイミングで辞任を明かしたのも、この一件と無関係とは考えにくい。監督の首のすげ替えだけで、常勝チームは築けない。新監督選定における責任は重い。タテジマのチーム作りは、ビジョンが伝わってこない、不安定さを感じさせながらの出直しになる。【編集委員・寺尾博和】