<セCSファーストステージ:ヤクルト0-4巨人>◇第2戦◇14日◇神宮

短期決戦で一番大切な事は、何なのか。菅野の快挙を見届けた巨人上原は「ひと言で…難しいなぁ」と歩を緩め、少し考えた。「執念というか…ここ一番はアドレナリンが出るんだよ」とクラブハウスに消えた。

2連勝ストレート突破の潮目は13日の初戦、巨人1点リードの5回2死二塁にあった。救援した上原は、ヤクルトの3番山田哲を空振り三振に抑え、悠々とイニングをまたぎ、揺れる流れを引き寄せた。

局面を意気に感じ、本分に徹した。「すごい成績を残したバッター。とにかく必死に投げた。40を過ぎて、いい場面で使ってもらえること。応援してくれる人がいる限り必死に投げるだけ」と言い、加えた。「向こうのポストシーズンで、うんと厳しい場面で投げてきたからな」。

13年、レッドソックスのクローザーとして世界を極めた。言葉の端ににじませた誇りと意地。ヤクルトの宮本ヘッドコーチは、一塁側ベンチで上原の気迫を感じていた。長く敵として戦い、国際試合でともに戦い、底知れぬ力を熟知していた。「オレは43歳シーズンに引退したけど…43になっても変わってない。ホントしぶとい。シーズンのトータルで結果を出す人と、ここ一番で結果を出す人がいる。調子とかじゃなくて、本当に強い人は、ここ一番でも結果を出す。勝負への執念深さかな」と語った。

山田哲は試合後「短期決戦の難しさを、あらためて感じた」と言った。上原は「必死にやれば広島にもチャンスはある」と言った。1球にアドレナリンを込める。湧き上がる力の源が「執念」に集約されるのだろう。巨人が執念でヤクルトを上回った。【宮下敬至】