前へ! 10年ぶりリーグ優勝を果たした西武は17日、CSファーストステージを勝ち抜いたソフトバンクを本拠地に迎え、ファイナルステージに臨む。前日練習の冒頭、辻発彦監督(59)は選手、コーチ、スタッフを集め「前向きに行こう」と訓示。初戦先発の菊池雄星投手(27)は初回から全力で投げることを誓った。シーズン同様、前へ、前へと勝ち進む。

二重、三重の人垣の真ん中、辻監督の言葉は明快だった。全体練習の冒頭で思いのたけを伝えた。

「143試合、戦ってきた形は変えようがない。1戦1戦、全力を尽くして今までどおり、やってくれればいい。試合の流れでミスもあるが、今年やってきた形である、1点を大事にということをやっていこう。その上で、ミスをしても過去のこと。前向きに、前向きに。打てなかったら、次の打席で打てばいい。勝てなかったら、次の試合を勝てばいい」

ミスしても切り替え、点を取られたら取り返す。失策数、防御率はリーグワーストでも、山賊打線で打ち勝ってきた。視界には、前にある頂だけ。王者らしく、今年の西武野球でCS突破を図る。

前向きな姿勢は、辻監督が「調子はいい。全力を出し切ることだけ」と送り出すエース菊池も同じだ。今季はケガやフォームに悩んだ時期もあったが「結果的に優勝できた。すごくいいシーズンだった」と過去をぬぐい去った。大一番を前にした調整も「普段どおり」。ブルペンで24球を投げ準備はできた。唯一の違いはアクセルを踏む強さ。短期決戦ゆえ「いけるところまで、初回から全力で。ペース配分を考えずにいきたい」と頭から攻めるつもりだ。

プロ9年間の集大成を見せる。メジャーへの夢を持ち、球団は今オフにポスティングシステム(入札制度)による挑戦を容認する方針。所沢から羽ばたく日が近づいている。菊池にとって初のファイナルステージは、いつも温かいファンへ恩返しのマウンドになる。「10年間、優勝から遠ざかった悔しさを共有してくれたファンの皆さんの力も借りて、投げたい」。前へ、前へと進み、日本一をつかみにいく。【古川真弥】