リーグ3連覇の実力を見せつけた。王者広島が、3位から進出してきた巨人に3連勝。アドバンテージ1勝と合わせて4勝0敗とし、2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。緒方孝市監督(49)が先発3戦目に抜てきした九里がCS初勝利。野間が先制となる決勝打を放つなど、今季の成長株が大舞台で躍動した。引退するベテラン新井とともに、強い緒方カープが、次はチーム34年ぶり日本一を狙う。

緒方監督はグラウンドでの勝利インタビューで、頼もしい選手をたたえた。「自分自身プレッシャーを感じていたが、選手はそれを感じさせず、伸び伸びとプレーして力を発揮していた。本当にすごい選手たちです!」。鉄仮面で隠していたが、昨年は敗れたCSファイナル。重圧は相当なものだったはずだ。

エースと4番が活躍した第1戦、逆転で底力を発揮した第2戦に続き、この日は成長株が活躍した。先発九里が6回1死まで無安打投球。第3戦は開幕投手の野村も選択肢としてあり得たが、指揮官の考えは違った。「成長した選手の1人だから。1年間通して投げているのが一番。(リーグ優勝を決めた)ヤクルト戦の気迫のこもった投球が決め手だった」と明かした。

野手では今季ブレークの野間が2回に先制二塁打。さらに会沢の遊ゴロに好判断で三塁へ進んだ。1死三塁から安部の一ゴロで楽々と2点目。この足はパの王者にも脅威となる。

投打2人の活躍について試合後、緒方監督は「経験できることが非常に大きなこと。結果が出れば、本人たちも自信になるだろうし、また次のさらに大きな舞台に自信を持って入っていける」とうなずいた。この経験が日本シリーズへの戦力アップとなる。

指揮官はメジャーのプレーオフから刺激を受けていた。第2戦の練習前には美技の応酬だったレッドソックス-アストロズ戦をテレビ観戦。「すごい試合だった」と目を輝かせた。「(こちらも)盛り上げたいね」と話し、実際に勝利でホームタウンを熱狂させた。

今季限りで辞任する巨人高橋監督とは本塁付近で握手し「3年間監督お疲れさまでした」とねぎらった。次にコマを進め、残るは2年前に2勝届かなかった日本一。インタビューで叫んだ。「厳しい戦いになると思いますが、チーム一丸となって、そしてファンとともに日本一を勝ち取りましょう。頑張ります!」。大仕事を、やり遂げてみせる。【大池和幸】