ソフトバンクが2年連続の日本シリーズ進出に王手をかけた。2勝2敗で迎えた西武とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦で、4番柳田悠岐外野手(30)が初回に左翼越えに決勝の先制2ラン。主砲の今CS初となる1発で勢いづいた打線は、山賊打線のお株を奪う11安打8得点で圧倒した。今日21日の第5戦に勝てば、球団初となる2位からのCS突破が決まる。

「ショートフライかと思った」。チームメートからはそんな声が上がった。だが滞空時間の長い柳田の大飛球はグングン伸び、西武ファンで埋まる左翼席に届いた。初回2死一塁、獲物は西武今井の外角高めの直球だ。「リラックスして、かち上げました」。今CS7戦目での初本塁打は、決勝点となる先制2ランだ。「上がり過ぎたかなと思ったけど、打ち方とかスイングは良かった。ホームランにはなると思いました」。周囲の驚きは気にも留めず、笑顔を振りまいた。

テーマは「リラックス」だ。日本ハムとのファーストステージは3戦1安打だったが、柳田は柳田だった。チーム宿舎から球場に向かうバスにタブレットを持参。相手チームを研究するのかと思いきや「ゲームっす。移動時間が長いのでね。ちょっと酔いますけど」と、心を穏やかに保つ。試合前に打撃練習を終えた後は「ベビースターが一番うまい。最高」と笑顔。メットライフドームの一塁側選手サロンに常設されている駄菓子をポケットに忍ばせ、少年のように言った。自然体で臨み、結果につなげた。

2点リードの7回には、もう1つの武器の足でも勝利をたぐり寄せた。2死満塁で打者はデスパイネ。一塁走者の柳田は「結構イメージしていました」と三遊間へのゴロで快足を飛ばし、遊撃源田が封殺を狙った二塁で、間一髪セーフをもぎ取った。「三遊間の打球で二塁セーフになる。その通りになってびっくりしました。大きかった」。自画自賛の走塁で、リードを3点に広げた。

4番に引っ張られた打線は11安打で8点を挙げ、西武を圧倒。3勝2敗として日本シリーズ進出に王手をかけた。2位からのCS突破となれば球団史上初。工藤監督は「自分たちの野球をやって、ものにするんだ、勝つんだという思いでいる」と必勝宣言。柳田も「あと1つ勝てるように頑張ります」と力強く言った。今日21日、一気に決める。歓喜のビールかけが待っている。【山本大地】