「農トレ」パワーで目指すは本塁打キング! 広島にドラフト3位指名された智弁和歌山・林晃汰内野手(18)が15日、和歌山市内で仮契約を結んだ。契約金4500万円、年俸600万円(金額は推定)。実家は農家で、小さいころから作業を手伝ったことも体づくりに一役買った。強靱(きょうじん)な下半身を武器に、将来的な目標に本塁打王を掲げた。

林は仮契約を終えると、色紙に「本塁打王」と力強く書き込んだ。「長打を打てるのがアピールポイント。長所を生かして、ファンに愛される選手になりたい。本塁打は理想の形。それを一番打てるのはいいことなので」。高校通算49発。これまでは本塁打の打ち損じが安打という感覚があったという。そんな長距離砲が大きな希望を抱いてプロの世界に飛び込む。

182センチ、88キロのがっしりした体形。自慢の部位を聞かれて「ここですね」と太ももを指さした。太もも回りは60センチを超えるという。競輪選手のようなサイズだ。鞘師スカウトが「高校生離れの長打力」とほれ込むパワーの持ち主。源流は家庭環境にもあった。

実家が和歌山・岩出市内で農家を営んでいる。野菜のほか、植物のキンギョソウも生産。林は小さいころから作業を手伝ってきた。そんな「農トレ」で例えば重い出荷物を持ち運ぶことが体づくりの一端を担ってきた。「食事には困ったことがない」と言い、母や祖母がつくる菜園の野菜を食べて健康的に育ってきた。

もちろん野球での厳しい鍛錬を積んできた。「スイング量で長打力が磨かれた」と、強打の智弁和歌山らしく1日1000スイングが目安。高校から始めたウエートトレーニングも筋量を増やした。精鋭ぞろいの中で1年夏からベンチ入りし、春夏3度の甲子園出場。中堅から左へ2発を放った。逆方向に大きい打球を飛ばせる魅力がある。

仮契約に同席した父光彦(てるひこ)さん(52)は「けがなく衣笠選手のような息の長い選手になって欲しい」と期待した。父が育てるキンギョソウの花言葉は「おしゃべり」だが、林は多くを語る方ではない。ただ努力は惜しまぬタイプで「しっかり練習して早く1軍で活躍したい」と意気込んだ。地道に成長を重ね、いつか大きな花を咲かせてみせる。【大池和幸】

◆林晃汰(はやし・こうた)2000年(平12)11月16日、和歌山・岩出市生まれ。岩出小1年から「岩出ヤンキース」で捕手、三塁手として野球を始める。岩出中では「紀州ボーイズ」に所属。2、3年と全国大会出場。智弁和歌山では1年夏からベンチ入り。182センチ、88キロ。右投げ左打ち。家族は両親と兄2人と祖父母。