ヤクルト小川泰弘投手(28)が17日、来季の「開幕投手」に12球団最速で名乗りを上げた。今季は昨年10月の右肘手術の影響もあり、5月に1軍合流して8勝。2位躍進に貢献したが、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦では自身8連勝中だった巨人に敗れ、チームも2連敗で終戦した。来季はエースとして4年ぶり優勝へのスタートダッシュを決めるべく、来年3月29日の阪神との開幕戦(京セラドーム大阪)に照準を定めた。

さも当然、といわんばかりだった。小川は来季の開幕投手への意欲を聞かれると、クールな表情のまま「もちろん」と即答した。「やるつもりで調整する気持ちは持っています。投げるのも体作りも意識して、早く仕上げる」。自身3年ぶり4度目の開幕投手は、エースとして全うすべき責務としてとらえている。

今季の「空白の2カ月」が、来季へのやる気をかき立てる。昨年10月に右肘を手術し、リハビリをへて臨戦態勢を整えたのが5月。開幕月の3月と4月は、波に乗れないチームを、悔しさをかみ殺しながら眺めることしかできなかった。

だからこそ、開幕戦への思いは人一倍強い。「スタートから1年間しっかり回りたい。それは最低限。それをしてこそ評価される」。まだ11月だが、開幕戦から空白期間なくローテーションの柱をつとめあげるための準備を開始した。

投球フォームの見直しに加え、球界を代表する右腕の「思考法」の導入を試みる。10月14日のCSファーストステージ第2戦で、巨人菅野に無安打無得点投球を決められた。打者や状況を冷静に見極めて力配分を施し、9回113球で大記録を達成した姿に「すごい。常に全力投球ではいけない」と感銘を受けた。オフ中に勝負どころで力加減を変える「ギア」を手にするためのライアン流・省エネ投球術を追求していく。

開幕カードから2週間後の4月12日からは巨人3連戦。開幕投手を務めれば、菅野との19年度“初対決”の可能性が高い。シーズンに限れば巨人戦8連勝中で「最初に勝てば嫌な印象を与えられる」と必勝を期した。「1年間フルでやれてこそチームのため。イニング数をたくさん投げて貢献したい」。ぶれることなく、19年度の幕開けの日へと歩を進める。【浜本卓也】

◆ヤクルト小川の開幕戦 プロ6年間で、14年から3年連続で開幕投手を務めた。初の大役を務めた14年のDeNA戦は、制球に苦しみながらも6回102球で1失点で初勝利。翌年はマツダスタジアムで広島相手に7回無失点で、白星こそつかなかったが開幕戦勝利につながる好投。この年のリーグ制覇への勢いをつけた。16年は巨人戦で6回1失点と粘投も、7回無失点の菅野に黒星を喫した。