まだ終わらない-。阪神鳥谷敬内野手(37)が5日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、現状維持の推定年俸4億円でサインした。5年契約の最終年となる来季を現役生活が懸かった1年と位置づけ、「若い選手に負けないぞ、という気持ちもある」と宣言。北條らとの遊撃レギュラー争いへ、不退転の決意で勝負を仕掛ける。

現実から目を背けない。19年は5年契約の最終年。来年6月で38歳になる。周囲から向けられるまなざしの変化を受け止めた上で、鳥谷は流れにあらがい。契約更改直後の会見。その言葉と落ち着いた表情から、悲壮な覚悟をヒシヒシと感じ取らせた。

「契約もそうですし、年齢的にも来年が終わってそのまま野球を続けられるのか、辞めなきゃいけないのか、大事な1年になる。1日1日を大切にやっていきたいと思っています」

今季は開幕二塁スタメンから不振で出番が激減。レギュラーの座を完全に失った。オフに入ると、矢野新監督との面談の場で遊撃再挑戦を直訴。「毎日グラウンドに立てるような状態にしていきたい」。もっとも激しい動きを要求されるポジションを奪い返すため、すでにハードなトレーニングを継続している。

「個人的には若い選手に負けないぞ、という気持ちもありますし」

力強く、はっきりと言った。チームは新主将・26歳糸原のもと、若返りが進む。もちろん今まで通り若手のサポートは惜しまないが、北條らとの遊撃レギュラー争いに限れば、1歩も引くつもりはない。

「誰がレギュラーか、決まっていないのが現状だと思う。そういう意味では、年齢でチャンスがないわけではない。みんなにチャンスがある中なので。勝負できる状態にしていきたいなと思っています」

静かな言葉1つ1つからにじみ出るのは、自信。妥協なき準備を進めているからこそ、不安を感じさせないコメントを続けられるのだろう。

年明けは例年通りハワイで自主トレに励み、1年間戦い抜けるだけの肉体を作り上げる。

「一番は、チームが優勝するためにやっている。その一員として1年間戦えることが目標になります」

17年ぶりのリーグ最下位から、14年ぶりのリーグ制覇へ。後悔なく美酒を浴びるまで、突っ走る。【佐井陽介】(金額は推定)