来季3年目の中日柳裕也投手(24)が年明けに「吉見塾」に入門する。12日、ナゴヤ球場での練習後、吉見が大阪府内で行う自主トレに石川、清水らと参加すると明かした。「吸収したいこと、勉強させていただきたいことがたくさんある」とほれ込む先輩の下で約2週間、年間通じて戦える体を作るつもりだ。

きっかけは今春キャンプのキャッチボールだった。常日頃からキャッチボールを重視する吉見の姿を見て、柳は相手役を志願。その中で、周囲にひた隠しにしていた右肩の異変を吉見に見抜かれた。キャンプ後、吉見は自ら車のハンドルを握り、旧知の治療院に連れていってくれた。柳が4月10日ヤクルト戦で今季両リーグ一番乗りとなる2安打完封勝利を挙げた裏に、こんな出来事があった。

右肩痛を見抜いた眼力、その後の治療にまで気を配ってくれた姿に「この先輩からもっといろんな話を聞きたい。勉強したい」と思いが募り、自主トレ入門につながった。プロ1年目の右肘痛など故障に苦しんできた16年ドラフト1位にとって、同じく右肘痛を克服して先発ローテーションに戻ってきた34歳のベテランは学ぶべき投手だった。

柳はプロ2年で通算3勝ながら、球団が導入したトラックマンでは球界屈指のホップ率を誇る。さらに明大時代の代名詞だったカーブは変化量が多いため「特殊球」と表示される。他に投げる投手がいない、柳ならではの変化球だ。その球も「プロ入り後は緩急を意識して、遅いカーブを投げようとして腕の振りが緩んでいた」という。現在の球速110キロから「来年以降はかつて投げていた115~118キロのカーブに戻そうと思っています」と持ち球の意義を再確認。エースのガルシアが抜けた来季、竜投再編のカギを握る右腕になる。【堀まどか】