来季で44歳の「雑草魂」が原点へ戻る。巨人は14日、自由契約となっていた上原浩治投手(43)と再契約を結んだと発表。1年契約で年俸は5000万円。左膝のクリーニング手術の経過を鑑み、再契約に至った。背番号は99年のプロ入りからメジャー時代の17年まで背負い、今季は菅野がつけていた19に決まった。都内の球団事務所で取材に応じ、左膝の状態、プロ21年目に懸ける決意を示した。

雑草は、簡単にしおれない。上原は目線を上げ、はっきりと心情を口にした。「去年が去年だったんでね。3月まで入団が延びましたけど、今回は年内に決まったということで、ほっとしています」。19年間を過ごした背番号19との2年ぶりの再会に「(菅野)智之がすごく19の株を上げましたから汚さないように頑張りたい」と喜びと責任が入り交じった。

満身創痍(そうい)の体と向き合い続ける。10月23日に左膝をクリーニング手術。現在は速めのジョギングや40メートル前後のキャッチボールができるほど回復し「誰と比較していいか分からないけど、自分の中では順調」と手応えはある。それでも「(2月の)キャンプに100%という気持ちはない。シーズンに100%という気持ちが強い」と1年間を戦いきるために、開幕へ照準を合わせる。

44歳の来年は、現役最年長となる。家族から「いつまでやるの?」と言われたが「もう家族はあまり関係ないですし、自分の意思ですね」と現役を貫いた。「負けず嫌い、反骨心、負けたくない、あいつがやっているんだから、ということもある。同学年で言えばまだ(ロッテの)福浦がやっていますし、いい刺激になっている」。今季2000安打を達成した千葉のレジェンドの存在が、背中を押した。

20年間積み上げた実績におごるつもりは一切ない。「1軍で投げないと意味がない。投げられるポジションにつきたい」と、役割にこだわりはない。幾度の困難を乗り越えた右腕が、再びたくましく立ち上がる。【桑原幹久】(金額は推定)