上原が新生原巨人の勝利の方程式にガッチリ組み込まれる。原辰徳監督(60)は15日、都内で東海大野球部リーグ優勝70回記念祝賀会に出席。再契約した上原浩治投手(43)の起用法に「中途半端な位置で役割を与えるつもりはない。勝ちパターンでしょう。彼が違った形の位置にいても、何もいいことはない。自分ではい上がって役割を取ってもらいたい」と明言した。

契約を交わした14日に昼食をともにし、意向を伝えた。今季は守護神カミネロにつなぐセットアッパーで始動。序盤は機能していたが、打たれ出すと方程式から外れた。首脳陣の方針で、復調を探る早い回での登板も少なく、間隔が空く状況も目立った。7月下旬に初めて2軍降格するまで、登板が続く時期とのギャップが大きかった。

指揮官は上原の起用に明確なスタンスを貫く。「あれだけのキャリアを持っている選手が、若い選手の登竜門的な仕事を取るのはあり得ない」と断言。「クローザーは、相手から嫌がられる投手がならないと。チーム内の景色の中で陣容するのはいけない。相手から見て、嫌な景色であるか。しっかり見極めた状態で、そこまで上がってくれば最高」とクローザーの可能性にも触れた。07年に自ら守護神に配置し、先発と違った能力を開花させ、メジャーで活躍する下地をつくった。復活すれば、絶景を用意する覚悟はある。

来季への準備は委ねる。10月下旬の左膝のクリーニング手術明けを考慮し、来春キャンプは「1軍でガンガン、スタートすることはない」とファームに置く。背番号「19」上原の力を最も知る監督として、信じている。「今年のスタイルは自分が知っている上原ではなかった。だが来年は準備も膝も完璧な状態で戦えることにおいて期待している」。巨人と上原個人の復活を重ねる。【広重竜太郎】