日本ハムが来秋ドラフトで大船渡の最速157キロ右腕、佐々木朗希(2年)を1位入札の筆頭候補としていることが30日、分かった。競合必至の目玉を射止めるため、くじ引き役にはチーム内でスポーツ・コミュニティ・オフィサー(SCO)の肩書を持つ侍ジャパンの稲葉篤紀監督(46)の名前も浮上。球団職員まで幅を広げて抽せん役を吟味し、スケール感抜群の逸材獲得を狙う。

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日本ハムの編成部門トップの吉村GMは、はっきりと明言した。「ドラフト1位は、ほぼ決まっている。来年でしょ? 決まっているよ。間違いなく、決まっている。ピッチャー。それ以上は、今は言わない」。選手の具体名こそ伏せたが、栗山監督も「佐々木、佐々木って言っていれば実現するかな。俺の中では、本命だよ」と推すように、佐々木が1位入札の筆頭候補となっているもようだ。

佐々木は今夏時点で身長189センチ、体重81キロとスケール感たっぷりの体格から最速157キロを誇る。来秋ドラフトの目玉で競合必至。だが、球団首脳らの悩みは1歩先を行く。吉村GMが「非常に難しい選択。ドラフト1位を決めるより難しい」と言うのは、くじ引き役を誰に託すかだ。昨秋は7球団競合の清宮を当時GM補佐の木田投手チーフコーチが射止めたが、今秋は4球団競合の根尾を外し、その場でくじ引き役を解任。現状で有力候補は不在だ。

そこで斬新なアイデアが浮上した。「当たることから逆算して決めたい」という吉村GMには、1つのプランがある。「ジャパンの監督とはいえ、稲葉さんだって球団に所属されている今年も考えていたよ」。20年に東京五輪での指揮を控えた稲葉監督をくじ引き役の候補の1人に挙げた。稲葉監督本人は「ないよ」と苦笑いも、抜てきの可能性は十分ある。

他には木田投手チーフコーチの再登板や佐々木の担当である白井スカウト、球団職員も含めて運命を託す人材を幅広く見極めていく予定。吉村GMは「野球の神様から、どんな啓示が降りてくるか。それを待っている」と不敵な笑みを浮かべた。清宮を射止めた17年ドラフト時には、同年2月に天から啓示を受け、木田投手チーフコーチへ通達されていたという。誰に白羽の矢が立つのか。決まっているのは佐々木の1位入札の方針だけだ。【木下大輔】

 

<佐々木朗希(ささき・ろうき)のアラカルト>

◆生まれ 2001年(平13)11月3日生まれ、岩手・陸前高田市出身。

◆球歴 高田小3年から野球を始め、11年の東日本大震災で被災。大船渡に移り住み、猪川小に転校。大船渡一中では軟式野球部に所属し、Kボール選抜で全国大会に出場も初戦敗退。

◆サイズ 189センチ、81キロ。右投げ右打ち。

◆球速 大船渡では1年夏からベンチ入りし、公式戦初登板となった昨夏の初戦2回戦の盛岡北戦で147キロ、今春は盛岡中央との県1回戦で153キロ、今夏は盛岡三戦で154キロを2球計測。現在の最速は157キロ。

◆負けず嫌い 津波で亡くなった父に代わり、兄が厳しく接してくれたことで、負けず嫌いの性格に。ライバル心を燃やすため、一時は横浜(神奈川)及川の画像を携帯の待ち受け画面にしていた。

◆好きなアイドル 女子高生ミスコンでグランプリを獲得した福田愛依。