広島が7日、巨人にFA移籍した丸佳浩外野手(29)の人的補償として長野久義外野手(34)を獲得したことを発表した。

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自主トレ地の米国で球団からの連絡を受けた。どんな心境だったのだろう。球界屈指の気遣いの男だけに想像もつかない。昨年末に人的補償で内海の西武移籍が決まった。広島の人的補償は長野にとっても気がかり案件だった。「行きたいとか、行きたくないとか、言えない。自分かどうかは別として誰かが行くことになる」。日本ハム、ロッテの指名を拒否して巨人に入団した男の思いは計り知れない。

昨年2月の宮崎キャンプ中だった。後輩記者が飲食店にパソコンが入ったバッグを忘れた。帰路に就くタクシーの中で気付いた記者が店主に電話して「明日の朝、取りに伺います」と言ったのを助手席で聞いていた長野は「お店は朝からやってないよ。相手のことを考えないと。『何時ぐらいに取りにいったらよろしいですか』って聞かないと」とアドバイスしたことが印象深い。

相手がどう思うか-。自分のエゴを押しつけるようなことは絶対にしない。もちろん、自らの意思はある。ただ常に「相手」を優先し、尊重するのが長野のスタイルだ。そのスタイルは巨人でも広島でも変わらない。【巨人担当=為田聡史】