長野久義外野手(34)の人的補償での広島への移籍発表から一夜明けた8日、ジャイアンツ球場では和田恋外野手(23)、若林晃弘内野手(25)らが自主トレで汗を流した。

昨季、プロ初安打を放った和田は「まさか、長野さんが…。驚きました」と信じられない様子で話した。

先輩後輩に関係なく、誰からも慕われた男だけに衝撃は大きかった。それぞれがいろいろな思いを抱く中、選手の自主トレのサポートで訪れた大抜亮祐打撃投手(30)は大事そうにシューズを抱え、長野とのエピソードを明かした。

大抜打撃投手 2年前に、長野さんが打撃投手にプレゼントしてくれたものなんです。本当に優しい方で、いつも裏方のことを気にかけてくださった。感謝の気持ちでいっぱいです。

1人1人にサイズ、刺しゅうなどの希望を聞いた上で用具メーカー「アシックス社」に発注。球団からは毎年、シューズやスパイクが支給されるが、シューズは消耗品だけに長野からの太っ腹なプレゼントに大喜びだったという。

大抜打撃投手は「長野さんの思いが詰まったものですから。しっかり磨いて、大事に使います」とかみしめるように話した。日が暮れ始めると、ジャイアンツ球場にも冷たい風が吹き始めた。誰もいなくなったグラウンドは、少し寂しげに映った。【久保賢吾】