定位置を占領する。西武からFA移籍した巨人炭谷銀仁朗捕手(31)が11日、館山市内で自主トレを公開した。

400メートルの坂道走など走り込みメニューを中心に徹底的に下半身を鍛えた。新天地で臨む今季の目標を「フルイニング出場」に設定。2リーグ制後、野村克也、城島健司だけしか実現していない大記録への挑戦を高らかに宣言した。

百獣の王を胸に刻み込んだ。古巣西武のマスコットのレオではない。たてがみをなびかせたライオンの刺しゅうが巨人カラーで練習着、帽子に施されていた。「ライオンズという意味じゃない。強い動物という意味でライオンを選んだ」。自身のシンボルとして、西武時代からキャッチャーミットや身の回りの野球用具に記してきた。新天地でも継続する。

一般人の太ももほどの強靱(きょうじん)なふくらはぎは、全試合フル出場のためにある。小林、捕手復帰を決めた阿部、大城との正捕手争いは覚悟の上で「当然負けたくはないし、シーズン全部かぶる気でいきます。城島さんが捕手として全試合フルイニング出場をやってから誰もやってない。不可能かもしれないですけど、その目標は僕は常に持ってます」と宣言。引退前まで合同自主トレをしていた先輩の背中を追う。

陸上部さながらのシャトルラン、坂路走と過酷なランニングメニュー消化。7日から館山市内で本格始動し「しっかり身体つくって1年間、戦える体と思ってる。今の段階で順調にきてるかなと思います」と震える膝を押さえながらうなずいた。まずは目標へ土台を構築。近年は捕手併用が主流だが「打撃がいい、肩がいい、守備がいいだけではダメだと思う。トータルでみんなに勝たないとシーズン全部かぶるという目標は達成できない」と高いハードルを設定。143試合、四六時中、炭谷が巨人の扇の要を占拠する。【為田聡史】

◆捕手の全イニング出場 03年城島(ダイエー)が最後で、他には1リーグ時代に3度マークのハリス(イーグルス)44年八木(近畿日本)63年野村(南海)の4人(6度)が記録。セ・リーグで達成した捕手はまだおらず、全試合出場を4度マークした古田(ヤクルト)も、全イニング出場は1度もなかった。ちなみに他のポジションで全イニング出場した巨人の選手は、10年坂本(遊撃)が最後となっている。