真の4番に向けて発進する。3年目の阪神大山悠輔内野手(24)が16日、沖縄県宜野座村での合同自主トレを公開し、今季4番に座る意欲をみせた。1年目からその重責を味わった右の大砲は「軸」という言葉を繰り返し、全試合出場を目標に掲げた。岩貞、岩崎、梅野、陽川ら先輩選手に囲まれた自主トレでバットを振り込み、キャンプに備える。

  ◇    ◇    ◇

曇り空でも汗が出る沖縄で、大山が一点を見つめて語った。

「2年間、試合にたくさん出させてもらった。その経験で『軸』となっていかないと意味がない。4番で試合に出ないと分からない経験もある。1、2年目で、そういうことも経験させていただいた」

自らのバットで活路を開いてきた若武者は、プロ入り後初めての沖縄自主トレで3年目をスタートさせた。「まずは1年間戦える体を作ること。無理をしてケガをしてしまうといけないので、自分のできる範囲でしっかり動ければ。やりたいことはできている。もっと強度を上げてキャンプに入っていきたい」。

今回は梅野から誘われ、先輩選手との自主トレが実現。「プロで長くやっている先輩なので、同い年や後輩とやるのとは、また違う雰囲気でやれています。3年目になりますし、いろいろ考えて、新たな挑戦ということで来ました」。その表情は充実感であふれている。

矢野監督からは、主軸として活躍を期待され、昨秋キャンプの実戦では4番に座った。ここ2年間で4番の重責は何度も味わってきただけに「1年間、試合に出続けること。全試合に出て活躍することが目標。1年間を通して成績を残せるように。『軸』となって戦えるようにしていきたい」と力を込める。福留、糸井ら実績あるベテランや新外国人のマルテらとの競争を勝ち抜き、大山がチームの顔へと進化を遂げていく。【真柴健】

 

<阪神の4番候補>

筆頭は新外国人マルテだ。メジャー通算30本塁打の実績があり、昨年末も矢野監督が「理想はやっぱり4番」と明言した。ターゲットだった右打ちの強打者で、左打者の福留、糸井を挟む主軸が基本パターン。だが、マルテの力量は未知数で、不振に陥った場合は昨季、チーム最多75試合で先発4番に入った糸井や7試合の福留、または、今季プロ3年目の大山も12試合経験しており、候補に浮上する。

 

▼大山は新人だった17年9月1日中日戦で、プロ初の先発4番での出場を果たした。阪神の1年目選手がスタメン4番に入ったのは、2リーグ分立後では64年富恵一以来53年ぶり3人目。翌2日中日戦では阪神の新人として史上初めて先発4番で本塁打を放った(プロ野球初年度の36年を除く)。大山は17、18年との各12試合で先発4番。通算24試合で打率2割2分3厘、1本塁打、10打点。