大風呂敷に聞こえない。日本ハム栗山英樹監督(57)が、ドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)を開幕投手に抜てきする可能性をにおわせた。

19日、千葉市内で行われたグループの商品展示会に参加。今季の開幕投手について「まだ言い渡していない」と白紙であることを明かし「年齢は関係ない」と、吉田輝も候補の1人であることを強調した。実現すれば、2リーグ制後最年少の開幕投手誕生となる。

栗山監督からビッグプランが飛び出した。吉田輝の開幕ローテ入りについて問われると、ローテ入りどころか「開幕投手は、まだ(誰にも)言い渡していないから」と飛躍。「年齢は関係ないだろ。今年に関しては道がいっぱいある。選択肢が多い。何でもありだ」と続け、吉田輝の開幕投手デビューを否定しなかった。

沖縄・国頭での2軍キャンプスタートが決まっているが、初実戦となる2月16日紅白戦でアピールに成功すれば、決して夢物語ではない。「そんなの無理だよと思ってしまうことが、一番夢をそいでしまう。進む道を閉ざしてしまう」と熱弁する指揮官に応えるように、吉田輝も「目標はどれだけ高くてもいい。開幕投手ができるかはわからないけど、それくらいの意識でやっていきたい。たくさんいい投手がいるので、負けないくらい頑張っていきたい」と発奮した。

昨夏の甲子園準V右腕には、これまでも不可能を可能にしてきた自信がある。「周りからは無理だとされることも、口に出して目標にしていた」。高校入学直後から「150キロの球を投げる」と公言。当時の最速を25キロも上回る目標に「たまに同意してくれる人もいれば『無理でしょ』と言う人もいた」というが「結果的には実現できた」。「中学時代はずばぬけた投手ではなかった」が、甲子園で準優勝し、さらにプロ入り。次々と目標をクリアしてきた。

開幕戦は3月29日オリックス戦(札幌ドーム)。商品展示会のトークショーで「1軍で活躍して日本一」と目標をしたためた18歳の登板はあるのか。「もしかしたら、俺ならやるだろ。やっちゃおうかな~」と不敵に笑う栗山監督の目が、キラリと光った。【中島宙恵】

 

◆日本ハムの先発投手事情 開幕投手候補筆頭は、チーム最多11勝を挙げた上沢だ。11月の日米野球でも侍ジャパンの先発として活躍。今季はエースとして地位固めのシーズンとなる。昨季10勝で来日2年目のマルティネス、17年開幕投手の有原は先発ローテ入りが有力。村田や左の加藤もいる。オリックスから移籍した14年沢村賞右腕、金子はリリーフ転向を希望しており、起用法に注目だ。

 

◆新人の開幕投手 2リーグ制後は13人いる。出身の内訳は社会人7人、大学3人、高校3人で、ドラフト制後(66年以降)は84年高野(ヤクルト)と13年則本(楽天)しかやっていない。高卒新人の開幕投手は52年大田垣(広島)54年梶本隆(阪急)56年牧野(東映)の3人で、大田垣は1失点の完投勝利を挙げた。1リーグ時代には17歳で開幕を務めた投手がいるが、2リーグ制後は52年大田垣の18歳5カ月が最年少。今季開幕時に18歳2カ月の吉田が開幕投手を務めれば大田垣を抜いて2リーグ制後最年少となる。

 

<主な高卒投手のデビュー戦>

◆松坂大輔(西武) 99年4月7日の日本ハム戦(東京ドーム)で先発。1回に片岡から体勢を崩す空振り三振を奪った。6回1死まで無安打無得点。8回2失点でプロ初勝利を挙げた。

◆ダルビッシュ有(日本ハム) 05年6月15日広島戦(札幌ドーム)に先発し、9回途中に連続被弾で降板も、9安打2失点で勝利。高卒ルーキーの初登板初勝利は松坂以来だった。

◆田中将大(楽天) 07年3月29日のソフトバンク戦(福岡ヤフードーム)でプロ初先発し、1回2/3を6安打6失点KO。だが4回に味方打線が一時同点に追い付き、敗戦投手は免れた。

◆大谷翔平(日本ハム) 13年5月23日ヤクルト戦(札幌ドーム)に先発。5回6安打2失点で勝ち負けはつかずも、バレンティンに最速157キロをマークした。