広島に加入した長野久義外野手(34)が23日、マツダスタジアム内で入団会見を行った。晴れやかな表情で会見場に姿を見せると、冒頭のあいさつをいきなりかんで爆笑を誘った。にじみ出る人柄は報道陣だけでなく、選手や球団関係者の心をつかんだ。あとは赤いユニホームを着てグラウンドを駆け回り、ファンの心をつかむだけだ。

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表情に一点の曇りもなかった。巨人入りまで2度、他球団の指名から入団を拒否した経緯がありながら、広島加入の長野は晴れやかだった。「このたびカープ球団でお世話になっこと、お世話になることになりました長野です。よろしくお願いします」。緊張からか、冒頭のあいさつでいきなりかむと、1度座りながらも「もう1回いいですか」と苦笑いしながらやり直しを直訴。会見場は温かい空気に包まれた。

真っ黒に日焼けしたこともあり、この日のために購入した赤いネクタイが映えた。言葉を選びながらはっきりとした口調で答える会見に、報道陣も自然と前かがみに。「人前に出るのが苦手で、すごく緊張しました。できればやりたくないです」。普段はあまり多くを語らない。ただ、再出発の節目だからこそ、できる限り言葉をつむいだ。

笑いだけでなく、つかみはOKだ。鈴木球団本部長は人柄に触れ「ナイスガイ。(チームに)慣れる慣れないではなく、ごく自然にとけ込めるのでは。(菊池と2人で)キクチョーコンビでもできるかもしれない」と称賛。会沢選手会長も両手で握手する姿に「人柄が出ていましたね。いい人だなって」とほほえんだ。春季キャンプは1軍スタート。広島野手で3番目の年長者となるが「全然気を使わないで、声かけてもらいたいですね」とチームメートの心もつかむつもりだ。

本拠地とするマツダスタジアムには縁がある。初本塁打も、初のヒーローインタビューもマツダスタジアム。敵として感じた大声援は今も耳に残る。「(広島ファンは)ライトすぐ後ろだったので、ものすごい声援でした。大きな声援をもらえるように頑張ります」。今度は赤いユニホームでファンの心をつかみ、大声援を背にグラウンドで暴れるだけだ。【前原淳】

○…巨人へFA移籍した丸が広島情報を伝える旨のニュースが取り上げられたが、長野も古巣の情報を隠すつもりはない。「僕が持っている情報やいろんなことはすべて伝えたいなと思っています。聞かれれば、ですけどね。最初から偉そうにいうのもあれなんで」と広島にすべてをささげる覚悟でいる。