広島長野久義外野手(34)が赤に染まった。30日、キャンプ地の宮崎・日南市で行われた合同自主トレに参加。グラブとスパイクは赤だった。巨人カラーの黒を基調としていた昨年までとは一転、身も心もカープカラーに染まった。新たな仲間と昼食を挟んで約3時間30分の練習を行い、若手と積極的に交流するなど、存在感を増している。

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注目の男が選んだ色はやはり赤だった。長野が合同自主トレに姿を見せた。カープカラーのグラブとスパイク。新しい同僚と一緒にベースランニングやノック、球拾いや片づけをしながら親睦を深めた。「本当に良かった。今日1日だけですけど、みんなと話すこともできて、今日いたメンバーは顔と名前を覚えたので」。この日で打ち上げとなったが、チームに早くとけ込もうと、ベテランでは異例の先乗りで合流。スタッフや裏方とも顔を合わせ、約3時間半の練習で身も心も赤に染まった。

名コンビ誕生も予感させた。菊池涼とは球場の行き帰りをともにし、練習中も話し相手でサポートを受けた。「キクが本当にいろんなことを教えてくれて、いい練習ができました」と感謝した。投手陣とも積極的にコミュニケーションを図った。高卒2年目の山口とは、共通の知人をきっかけに話が盛り上がったという。巨人時代の応援歌を歌える山口は「めっちゃイケメン。ずっと話していたかった」と大喜び。同じく憧れていたという船越は打撃の助言を求めるなど、早くも長野信者が続出している。

長野は広島ファンも大切にした。前日まで1桁の人数しかいなかった天福球場の観客は約10倍に増えた。室内練習場でティー打撃を終えると、サインを求めるファンに応えた。「Carp」とペンを走らせ、最後に「5」と記した。「ちょっとまだ慣れないので、間違えそうになります。番号を『7』って書きそうになるんですよね」と苦笑い。キャンプ初日からフィーバーが起きるのは確実だ。

夜には野手陣とスタッフで歓迎会が開かれた。広島流を学びながら、2月1日のキャンプインを待つ。「始まりますね」と長野は表情を引き締めた。深めた親睦はいつか絆に変わる。本当の意味での長野効果は、これから表れる。【前原淳】

◆ 船越は憧れの長野にド緊張だった。なかなか話しかけられずにいたが、午後の打撃練習中に菊池涼の助け舟から助言を求めた。打席での心構えを聞いた船越は耳を真っ赤にしながら直立不動。「プロに入ったばかりの気持ちになった。結構、舞い上がってしまった」と苦笑い。長野から使用するバットをもらう約束も取り付けた。

<赤くてすごいモノメモ>

◆真田の赤備え 戦国武将、真田幸村の部隊は赤い甲冑(かっちゅう)で身を包み「日の本一の兵(つわもの)」とうたわれた。

◆シャア専用モビルスーツ 「機動戦士ガンダム」でシャア・アズナブルの操るマシンは「赤い彗星(すいせい)」と呼ばれ、通常のタイプより「3倍速い」と言われた。

◆フェラーリ 伝統の赤はサーキットで映え、F1で史上最多16度のコンストラクターズチャンピオンに輝いた。

◆スーパー戦隊もの ゴレンジャーを始めとする戦隊ものはアカレンジャーら赤が中心。