現役最多163勝のヤクルト石川雅規投手(39)はなぜ勝てるのか? ANA BALLPARK浦添でキャンプイン3日目を迎えた左腕の練習に“潜入”した。

3日連続ブルペンに入り、合計300球以上を涼しい顔でこなした後も、ベテラン左腕は動きを止めない。午後には、携帯可能なトラックマン(球道計測機器)を運用する際のテスト投手役として、石井弘寿投手コーチを相手に31球投げた。「活用できるものはして、少しでもヒントがないかなと思っている。アウトにできるボールを投げたいので」。モデル役は立候補だった。

回転数、回転軸、変化量などが数値化されるトラックマンは神宮球場にも昨年から導入されている。プロ野球投手の平均よりも、シュート成分が多いのが石川の特徴。細かい数値は極秘事項だが、石川は試合ごとに数値を確認し、フィードバックをする。その様子について藤沢アナリストは「石川投手は、1球ごとに微調整できる。まっすぐでも(数値を確認して)少しずつ変わるのは本当にすごいこと。鳥肌ものです」。体をどう動かしたら球質が改善されるのか。石川はアナリストを仰天させるレベルで、それを実行できる。

プロ18年目でも「毎年、不安しかない。新戦力が入ってきて、争わないといけない。ルーキーのような気持ち」と練習の合間は移動時間を惜しむようにダッシュする。このオフにはファスティング(断食)に挑戦するなど、変化を恐れない強さもある。チーム最年長タイだが「まだまだうまくなれると思っている。試行錯誤です」。

この日1日だけでも、石川がなぜ勝てるのかを理解できる要素にあふれていた。【保坂恭子】

◆ヤクルト小川監督のコメント 精力的にブルペンに入って投げるのは毎年のこと。いかに準備してきているかが分かる。続けていることが、すごさでもある