打ちたいんです! 中日のドラフト1位、根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)が7日、2軍の沖縄・読谷キャンプで、自主トレを通じて初めてブルペンの打席に立った。谷元の投球に対して、途中で突如スイングして、先輩バッテリーを仰天させた。軽い肉離れの右ふくらはぎは順調に回復中だが、黄金ルーキーに打ちたい思いがあふれた。

谷元が投げた28球目。根尾のバットが突然、どんぴしゃりのタイミングで動いた。意図的に軌道をずらし、球筋とは数十センチ離れた。ミートの危険性は少なかったが、ブルペンでの打席では異例のスイング。捕手の武山は信じられないという表情をしていた。

「おい、危ねえじゃねえか!」。笑顔で突っ込みを入れると根尾も「すみません。手が出ちゃいました」とペコリ。ブルペン内が笑いに包まれた。

「出してみようかというより、出ちゃった感じです」。ティー打撃と室内マシン打撃だけの毎日で、打撃練習への渇望は「それはもう、ずっと思っています」と高まっている。投手との対峙(たいじ)自体が久しぶりだった。打者の本能が刺激されていた。

プロの球を打席で見るのは初めて。偶然、相手が根尾になった谷元はチームでも屈指の切れ味鋭い直球を持つ。さらにカットボール、フォーク、チェンジアップと44球の中で持ち球を全て見せてくれた。

根尾は心から感謝していた。「球の切れや、軌道は今まで見たことがないものだった。勉強になることがたくさんあった。距離感だったり、1球1球を目に焼き付けるつもりでした。貴重な経験でした」。

ベテラン武山はマスク越しに既視感を覚えていた。打者としてのオーラを「西武の森」と根尾の高校の先輩に例えた。武山は西武時代に新人の森を同じように見た経験がある。「雰囲気がある。(敵なら)慎重に攻めないといけないと感じた。タイミングの取り方もだし、力があって『パッ』とバットが出てきそうな感じだった」と評した。

走るスピードも少しずつアップ。2軍の全体練習合流までは、まだいくつかのチェック事項が残されているが、確実に前に進んでいる。【柏原誠】