オリックス西村徳文監督(59)が、宮崎清武キャンプで臨時コーチを務めた山田久志氏(70=日刊スポーツ評論家、阪急・オリックスOB会長)と対談。金子、西の抜けたチームのキーマンは、先発に挑戦している山本由伸投手(20)で意見が一致。打線は1、2番、守備では右翼に重点を置く西村イズムを披露。96年以来、23年ぶりのリーグV、日本一を狙う。【取材・構成=寺尾博和編集委員、古財稜明】

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山田氏(以下山田) 早くも清武の桜がほころび始めましたね。私の「臨時コーチ」も4年目でしたが、若手で伸びしろのある投手が咲いてくれるのを楽しみにしてるんです。

西村監督(以下西村) 今年のキャンプのテーマは若い選手をどれだけレベルアップさせるかだと思っています。

山田 一にも二にも、いかに金子、西が抜けた穴を埋めるか。でも必ず誰かが戦力として出てきますよ。「育て方」「使い方」を間違えないこと。ここは危機感をもっているコーチの腕の見せどころです。

西村 カバーできる投手はいっぱいいます。競争に勝った人材が、昨年いた投手以上のものを出してくれると信じています。

山田 先発転向に取り組む山本がカギですね。紅白戦でも好投したが、これからです。投球を再開した田嶋の回復が意外と早いのも明るい材料です。

西村 山本は先発のつもりですが、いろんなことをクリアする必要がある。田嶋はGOサインが出るまでは焦らせないようにするつもりです。

山田 先発は山岡、体調万全になればアルバース、山本…。あとはディクソンか、新外国人エップラーか。阪神から移籍の竹安も面白い。ちょっと隠しておきたいが、新人荒西、富山も好素材とみた。しばらく我慢して使ってるうちに、田嶋が出てくるという絵図が理想的でしょうね。抑えの増井が元気なのも心強い。

西村 投打とも競争ですが、こちらが1、2回の失敗を、どこまで我慢できるかも求められます。打つ方も吉田正だけに頼ってはいけないと思っています。1、2番に固定できる選手が出てきてほしい。そうするとクリーンアップが機能します。

山田 昨季は1番打者の打率が低かった(2割2分8厘)。吉田正の前後の打者が成績を残したら、得点力が上がる。現時点でレギュラーは、吉田正だけということですね。

西村 外国人野手もマレーロ、ロメロの仕上がりが昨年以上に早い。メネセスは実戦で見極めたい。(外国人枠は)投手2人、野手2人が妥当かも。ここも競争ですね。

山田 あとはセンターライン?

西村 そこは自分のなかで重点を置くポジションです。それに実はライトも重視してるんです。走者一塁から右前打で、ほとんど三塁までいかれました。そこの守備力が上がると失点率も下がる。これからの野球はそこが大事と思っているんです。脚力のある小田、宗、西浦、後藤、武田らの競争ですね。西村野球? とにかく守りをまずしっかりしたいと思っています。

山田 昨季はリードされて追いかける展開になると苦しかった。

西村 余計に無駄な1点を与えないこと。打ってくれるのが一番だが、出塁率ですね。足の速い選手が多いので、キャンプでは塁に出てから、いかに相手にプレッシャーをかけるかもやっていきたいです。

山田 西村監督は実績があるから、選手指導にメリハリをつけているし、フロントを含め、チーム全体を厳しく見渡している。さすがだなと思います。

西村 うちは戦力が低下していると思われがちです。相手にオリックス戦は「もらった」と思ってもらえた方がいい。評論家の順位予想も、全員が最下位でいいですよ(笑い)。逆にそういう時がチャンスと思っています。てっぺんをとるつもりで、そういう争いができるチームをつくっていきます。